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医療ウェアラブル

スマートスキンパッチと非侵襲性医療センシング

現在のスキンパッチには幅広い機能が盛り込まれており、医療センシング能力の向上や患者の転帰改善のためにハイブリッドプリンテドエレクトロニクスが採用されています。大きな可能性がある一方で、設計には複雑な課題もあります。

執筆者: Wladimir Punt
欧州ビジネスマネージャー

読了時間:3分

電子機器の小型化が進む中で、非侵襲性医療センシングの分野など、メドテックに新たなフロンティアが拓かれつつあります。従来、スキンパッチには単一の有線センサーしか含まれていませんでした。しかし、現在のスマートスキンパッチには幅広い機能が盛り込まれています。ハイブリッドのプリンテドエレクトロニクスでは、さまざまな電子機器と非侵襲性センサーを薄くて柔らかい物質に取り付けることができるため、設計者は、センサーやマイクロコントローラー、ワイヤレス接続や電池を機能性や耐久性に優れたコネクティッドデバイスに組み込むことができます。

これによって、医療現場においても家庭においても、これまで以上に総合的な患者のモニタリングが可能になります。軽量で柔らかいスキンパッチに最新機能を追加することで、患者が日常生活を送る中で患者自身(またはその医療従事者)がバイタルサインや活動を非侵襲でモニタリングすることができます。患者モニタリングの改善にかかるこの柔軟性には非常に大きな可能性があり、よりシンプルで快適なだけではなくアクセスもしやすくなっています。

つながる医療センシングの進化するニーズ

モバイルでつながる非侵襲性の医療センシングの機能に対する需要が拡大しています。新型コロナ流行中、病院やクリニックではリモートで患者をモニタリングするニーズが顕在化しました。リモートモニタリングによって医師は患者のバイタルサインを追跡できるだけではなくソーシャルディスタンスを保つこともできました。さらに、病院の混雑を避け、スタッフ不足の問題も緩和することができました。スマートスキンパッチはヘルスケア施設の内外で患者をモニタリングできる、軽量で快適な持ち運べる手段として登場しました。

家庭での健康モニタリングの市場も広がっています。スマートスキンパッチを利用すると、ホームユーザーは自分の心臓の動き、体温、筋肉の健康をモニタリングすることができます。こうしたデバイスは睡眠や脳波の動きのモニタリングにも利用でき、目立たず軽量であるというスマートスキンパッチの特徴が特に役立ちます。スキンパッチは妊娠モニタリングなどのフェムテック分野の用途でも特に人気が高まっています。 

すべてのスマートスキンパッチには柔らかいプリント基板技術と安全な皮膚接触粘着面が使われていますが、設計アーキテクチャは用途によって異なります。それぞれのスキンパッチの設計はカスタム化されており、ニーズに応じて使い捨ての場合も再利用可能な場合もあります。処分できる使い捨てのスキンパッチは一般的にはポリエチレンテレフタラート(PET)などの柔らかい素材で、電子装置が直接素材に取り付けられています。再利用可能なパッチの場合、電池装置は内部の取り外せるパック筺体に装填され、これが機械的かつ電気的に素材とつながっています。電子部品は再利用可能で、皮膚と接触した電極のみ処分されるため、廃棄物の削減にもつながります。ただし、物流上や再利用のための処理コストという点では課題となる場合もあります。

スマートスキンパッチの機会と課題

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モニタリングシステムの設計者は幅広いスマートスキンパッチ機能のオプションを活用できます。スキンパッチにはさまざまな種類の電子機器を組み込むことができます。体温センサー、化学センサー、電極、場合によっては視覚センサーなど、1つでも複数でもセンサーを取り付けることができます。スキンパッチには、電池、マイクロコントローラー、無線周波(同軸)アンテナを組み込み、ネットワークとの無線接続を維持することも可能です。

これがシステムの物理的な構成要素であり、設計者が組み合わせた特定の目的を達成するために性能的な目標に合わせてマッチングとカスタマイズが行われます。センサーやその他のデバイスをさまざまに組み合わせることで高度なソフトウェアを用いて非侵襲で患者の状態やバイタルサインの状況を描き出すことができます。

簡単そうに聞こえますよね? ところが、システムの信頼性にはさまざまなエンジニアリング領域が求められます。たとえば、予見される劣化に物質を対応させつつ電子部品を安全に固定するには安全な素材科学が不可欠になります。こうした種類の導電ペーストやハイドロゲルは、製造可能性、保存期間、性能という観点からシステムの要件を満たしている必要があります。製品の期待されるライフタイム期間を通して製品が確実に作動する必要もあります。製品性能やサポートが規制要件を順守したものになるよう徹底した試験と検証が必要になります。

コンセプトから生産に至るまで

スマートスキンパッチを作るということは、複数のパズルのピースを組み合わせて完全なシステムを作るということです。現場における何十年にもわたる経験を有した企業との協働が不可欠です。モレックスは、複数のエンジニアリング分野と連携して1つの目標の達成に取り組んでいます。

  • ハイブリッドプリンテドエレクトロニクスの設計
  • 素材科学
  • ワイヤレス接続
  • センサーインテグレーション
  • プロトタイピング
  • 試験と検証
  • 生産
  • 梱包

設計プロセスの初期段階からモレックスのエンジニアを関与させると、性能仕様や製造要件を満たした製品を確保する上で役立ちます。エンジニアリングの専門性に加えて、モレックスは、サプライチェーンのリスク軽減や市場投入のスピードアップに向けたグローバルな製造機能も提供しています。

患者のウェルネスや転帰の向上に向けたスマートスキンパッチのニーズは非常に大きく、今後も引き続き高まるでしょう。モレックスは、医療分野における専門性や協働による設計アプローチに、当社の多様なサプライチェーン、大量生産能力、規制コンプライアンスの経験(ISO 13485標準など)などが相まって、生活を改善する革新的なスキンパッチの開発をサポートすることができます。進化するテクノロジーのメリットについて調べる - カスタムのスマートスキンパッチのソリューションについて当社にお問い合わせください。


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