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ビッグデータやデジタル化に追加スペースは必須ではない

工場といえば、広い建屋内に並ぶ大型機械、生産ラインの上を整然と流れる製品、ラインの流れに沿って黙々と作業する多くの作業者、といった場面を想像します。   

製造業においては近年、物理的なスペースを拡張する方法では対応しきれないような課題も持ち上がってきています。大部分のメーカーには、工場をいったん解体して最新の思想や能力を組み込んだ工場を再築する資金的な余裕はありません。 

最新化のためのスペースを必要としている工場

最新の製造工場ではインダストリー4.0が活用されるようになってきていますが、これはつまり、より多くのデータの使用や、迅速な分析機能、モノのインターネット (IoT)、そして機械学習やコンピュータービジョンといった先端テクノロジーの組み込みが進んでいることを意味しています。このような先端テクノロジーの出現によって、製造プロセスのすべての要素が「スマート化」したことで、製品や部品、構成部品、組立品を製造するプロセス全体に変化が生じてきています。   

製造に必要な既存のワークフローを維持しながら、より効率的、効果的、柔軟で、責任ある製造活動を行わなければならないという、以前であれば絶対に達成不可能であったような課題が加わったと言えるでしょう。  

以前の製造工場は、生産性、復元力、耐久性を基準に設計されていました。従来型の工場においてIT技術と言えば、産業用コントローラーを設置してそこに監視制御とデータ取得 (SCADA) 装置を物理的に接続したネットワーク構成が典型的でした。ただ、このような接続構成では使用可能な帯域幅が限られており、インダストリー4.0のような最新テクノロジーのメリットを活かすことができません。  

工場にこのインダストリー4.0のような新たな能力を組み入れたいときに、重要な役割を果たすのが、小型化です。通信関連のパーツ等を物理的に小型化することで、工場の既存スペースへの設置が容易になると同時に、一気に最先端のテクノロジーを実装することも可能になるのです。

自工場に適した規模のネットワークアーキテクチャ

新たな能力を実現するには、古いテクノロジーを越えていく必要性があることは明らかです。しかし、なぜ小型化が必要なのか。それは、小型化はあらゆる場所で進んでいるからです。工場においてもパラダイムシフトをして小型化を進めるには、ネットワークアーキテクチャへの革新的アプローチが必要です。

それほど遠くない昔、センサーと産業用コントローラーで機械装置から収集したデータを利用している工場が、先端工場と呼ばれていたと思います。データは工場の専用ネットワーク上を運ばれて中央サーバーに集められ、サーバーに搭載したソフトウェアがこの情報を分析し、レポートが出力されて分析用に管理者に送られていました。 

現在の最先端の工場には、各部のコントローラーあるいは末端のセンサーのレベルにエッジコンピューティングを実装した、高度に分散化されたネットワークが用いられています。エッジコンピューティングでは、センサーのような末端部に組み込まれた、人工知能アプリ等の高度なソフトウェアを実行可能な専用コンピューターが、初期レベルのデータ処理を行います。このようなエッジデバイスによって、それまであった監視および制御プロセスの形は、データを消化して情報の形にしてから渡す能力を備える高度なサブシステムの集合へと形を変えています。このような変化の結果、デジタル情報のスループットは大きく向上しました。 

分散化されたネットワークアーキテクチャと遠隔処理システムは、容易には追加スペースを確保できない建物内にあります。ですので、ネットワークチャネルと内外にあるすべての制御および監視デバイスは、必要な機能レベルとパフォーマンスレベルで運用するためには、できる限り小さいものである必要があります。

堅牢な通信ネットワークの構築

最新の工場には、データをあるエリアから別のエリアに移動させる機能や、データを中央に収集して処理する機能が必要です。加えて、産業用モノのインターネット (IIoT) のアプリケーションに安定的に中断なく電力を供給しつづける必要もあります。工場を完全にコネクテッドにし統合化するための基本の第一歩は、効果的かつ効率的な配電等を含むネットワークと通信機能の設置となります。  

IoTは、産業用イーサネットの背骨のような働きをし、通信速度が最大1 GbpsのCat5e/Cat6ケーブルとネットワーク用の標準ハードウェアを使用します。そしてこのネットワークにも、例えばカバー範囲が100メートル以内である等、いくつかの限界があります。産業用イーサネットでは基本的に、M8またはM12のコネクターを使用しますが、これはセンサー等の接続用には大きすぎます。リピーターで延長する方法や、光ファイバーで実装した運用もできますが、こういった方法はコスト高であり、メンテナンスや修繕も難しくなります。なお、現状用いられているケーブルはLANケーブルで給電するPoE方式に対応したケーブルで、ギガビットイーサネットの4ペア線を使用し、ポートあたり15.4Wまたは30Wの電力を供給するものです。  

シングルペアイーサネット (SPE) は、産業用モノのインターネット (IIoT) アプリケーション向けの比較的新しいケーブルですが、こちらの方が性能的に優れています。2ペアや4ペア線ではなくツイストペア線1本で、1 Gbpsでの通信と最大50Wの給電 (PoDL: Power over Data Line) が可能です。IEEE 802.3ch規格に準拠し、データ伝送速度10 Gbpsに対応します。 

SPEは線数が少なくなった分、ケーブル経が小さくなっているため、コネクターやリセプタクル側の電子部品もあわせて小型化が可能となり、狭いスペースにもポートを挿入しやすくなります。さらに、SPE (シングルペアイーサネット) は既存のイーサネットインフラと互換性があり、1個のコネクターで電力と信号の両方を伝送するので、よりシンプルな外形と小サイズ化、管理コスト低減なども叶えることができます。

エンドポイントの追加

続いての1歩は、工場現場の状況の監視です。製品のサイズや形状は適正か?機械のアウトプットに遅れはないか?工場には、データ収集能力のほかに、このような稼働状況を把握するための自動設備やロボットを監視する手段も必要かもしれません。  

既存の工場に適切な通信ネットワークを設置することで、こういった監視能力の多くを後付することができます。シングルペアイーサネット (SPE) ケーブルで接続するイーサネット対応機器を挿入して、既存設備をネットワークに接続するという方法です。  

比較的シンプルで扱いやすいのが、センサーや機器類を追加して機能を増やす方法です。たとえば、センサーが振動を検知して記録するボックスを装置に1個搭載して、振動測定機能を追加します。このセンサーボックスで検知する振動の値が上昇しはじめた場合、モーター負荷の変動や、パーツの緩み、その他さまざまな誤動作が生じているかもしれないと判断することができます。あるいは、センサーの代わりに赤外線を検知する小型センサーカメラを使用して、コンベヤベルト上を流れる品物に隠れた傷の有無を判定し、損傷のある商品が見つかったらそれを分けて別の処理をするよう、デバイスに信号を送信する、というシステムも作れます。 

その他、信号関連の課題の解決策としては、5G通信があります。5Gの魅力はなんといっても、ほぼケーブルなしで使える高速通信であることです。5Gテクノロジーは伝送距離が短いため、これを使用する場合は、工場内の個々のデバイス側にアンテナアレイが必要になります。

小型化に関するモレックスの知見を活かす

モレックスは長年かけて、前述の先端テクノロジーの要求に十分に対応可能な小型の組立品、部品、コネクター、ケーブルの製造に関する専門知識と能力を培い、また、業界の様々なニーズに多面的に対応する多数の製品群を製造してきました。弊社はまた、SPEテクノロジー分野へも早い段階から参入し、この分野における経験の豊富なエンジニアを多数擁しています。小型のコネクター、電線、センサー、その他関連製品を使用した工場能力の拡張策を、弊社の経験豊富なエンジニアがご提案することも可能です。最後にこの記事の結論として、変わりゆく最新テクノロジーの要求にこたえるために、工場の床を拡張する必要はないということをお伝えしたいと思います。むしろ、理想的な小型化を進めることで、スペースに余裕が生まれることもあるかもしれません。

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