産業とアプリケーション
拡張現実/仮想現実(AR/VR)は、ゲーミング/エンターテイメント、ロジスティック、医療など様々な業界に対する大きな可能性を秘めています。実際、2017年8月9日の『Business Insider』の記事によると、AR/VRに対する世界の支出総額は平均して1年で113%増加し、2020年には2,150億ドルに達すると予想されています。一方、2017年の世界の売上は11億ドルに達することが見込まれています。
しかし、AR/VR はまず、ヘッドセットの限られた視野、コンピュータに接続する必要性、現実世界の追跡の難しさなど、いくつかの技術的制限を克服する必要があります。ヘッドセットやスマートグラスを煩わしいものにしないためのスペースや重量の制約など、電子サブアセンブリに関する制限も存在します。
医療分野でのAR/VRの可能性
『Annals of Translational Medicine』発行の記事によると、AR/VRは手術室に革命を起こすことになりそうです。特に神経外科の分野で、外科医はARをすでに使用していますが、まさに集中力が患者の生死を分ける分野では、手術を行いながら別の画面を参照する「ヘッズアップ」手法は煩わしいことが多々あります。その結果、情報をレンズに重ね合わせることができるAR用のヘッドセットやスマートグラスが、手術に対するテクノロジーの次の波となることは確実です。
同記事によると、AR用ヘッドセットはポータブルで軽量にする必要もあるとのことです。「外科医の感覚の自然な延長となるデバイスは、長時間に及ぶ手術に備えて、軽量で動かしやすく、快適で機能的でなくてはなりません。」
倉庫や輸送におけるARの効率性
2017年8月、 DHLサプライチェーン は一連のグローバルプログラムを行なった後、世界中の倉庫のオーダーピッキング担当者に対して、ARスマートグラスの着用を標準化する計画であると発表しました。データが会社のネットワークからスマートグラスに送信されるので、担当者は、手持ちのスキャナーや書類を使用することなく、必要な情報をハンズフリーで得ることができます。試行したところ生産性が15%向上し、正確率が改善されました。同社は、トレーニングやメンテナンスなどの分野に対しても、AR/VR用の他のアプリケーションを研究しています。
BrainXChangeの「 ロジスティック業界がハンズフリーを目指す理由」という記事によると、UPSも担当者のタスクを簡素化するためにARスマートグラステクノロジーを試験し、ヘッドセットを使った運転手トレーニングVRプログラムを9カ所のトレーニング拠点で実施しているとのことです。さらに、FedExのパイロットはすでに、夜間や悪天候での飛行中に操縦をサポートするよう、ヘッズアップディスプレー(HUD)を使用しています。
このような企業とその他の輸送会社の経験から、業界アナリストは、今後数年で引き続きARスマートグラスの使用が増加し、AR/VR市場を推進するものと見ています。テクノロジーの開発がこの成長を促進させ、デバイスのサイズがひとつの改善すべき点となっています。 例えば 、AR/VRテクノロジーが新しいアプリケーションに実装できるようになる前に、従業員がこの新ツールの導入になかなか踏み切れない状態を克服するよう、「スマートグラスのサイズとスタイルをユーザーにもっと訴求するよう開発する」(ロジスティックス・サプライチェーン業界誌 DC Velocityの記事「 スマートグラス、倉庫で見直される」より)ことが必要です。
AR/VRデバイスのスペースの制限に対処する
モレックスは、スペースを省く製品と能力で、AR/VRテクノロジーの障害の一部を破りました。例えば、Application Specific Electronics Package (ASEP) ソリューションは、電子機能の製造工程を変革するモレックスのイノベーションであり、エンジニアは高性能と費用対効果を実現しながら、より小型で軽量な AR/VR 設計を開発できます。
「ASEPは、電子機能を電子システムのバックボーンとなる単一のデバイスに統一します」と、モレックスの高度エンジニアリング開発マネジャー Victor Zaderejは述べています。「サイズと重量の問題を解決するクリエイティブなパッケージングデザインを提供することが、AR/VRのテクノロジーを次のレベルへ高める一助となります。」
モレックスは、もうひとつの革新的テクノロジーであるミニチュアヒンジコネクターも開発しています。この革新的な部品は、メガネのアームにある電子サブアセンブリーからレンズに電力とデータを送信することで、AR マートグラスなどのアプリケーションに影響を与えられる可能性があります。
さらに、AR/VRアプリケーションのサイズと携帯性の要件に応えるため、モレックスは、サイズと重量の制限を克服するカスタムアンテナ、MID/LDS機能、フレキシブルサーキット、幅広い種類のマイクロミニチュアコネクターを展開しています。
AR/VR テクノロジーは、さまざまな業界でまさにパラダイムシフトを引き起こしており、AR/VRが今後も進んで行くためには電気回路のイノベーションが必要不可欠です。このエキサイティングなテクノロジーの新開発とその成功を推進する電気ソリューションについて解説する、モレックスのAR/VR/MRシリーズに関する今後の記事をお見逃しなく。