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テスト

クリーンで地球にやさしいエコシステムを推進する長く待ち望まれていたこの動きは、もはや遠くの地平線上にぼんやりと見える景色ではなく、急速に現実のものとなりつつあります。

米国の自動車メーカーは、EV開発推進と購入者の税控除のための1350億ドルの連邦予算割当に部分的には後押しされる形で、さらに多くの電子自動車群と、新しい技術とEVバッテリー向上のための投資を増やすと発表しています。潜在市場は膨大 国際エネルギー機関によれば、120カ国以上が、これからの数十年で排出実質ゼロ達成を誓うと発表し、20カ国が内燃機関からの完全フェーズアウトを約束しました。

UBS投資銀行は、EVは2025年の世界新車販売の20%を占めると予想しており、2030年予想はさらに明るく、シェアが50%に達すると見込まれています。しかし最近の インフラストラクチャ法案は、80kmあたり1台を目標に州間幹線道路に沿って充電ステーションを設置する5億円の予算を国に与えたため、これはすぐに達成されると思われます。

自動車メーカーとティア1とティア2のサプライヤーはこの展開を好感を持って受け止めています。モレックスの依頼でDimensional Researchが実施したグローバルアンケートによれば、膨大なブレークスルーの最前線にあって、93%が電動化に同意しています。しかしこれらのメーカーは、顧客の望みどおりにEV技術を機能させるには、乗り越えねばならない大きな技術的ハードルがあることも認識しています。

機会と課題

全体として、モレックスのアンケートに対する回答は、主な業界参加者の間における電動化開発の加速を反映しています。大多数の回答者は、電動化は彼らの事業においてますます重要な部分となりつつあると答えており、91%がEVへの資本支出を増やしています。これは単にバッテリーを搭載することだけを意味しているわけではありません。このアンケート結果は、消費者とメーカーにとって車両の電動化は、電気モーターへの移行よりはるかに多くのことを意味しているという事実を明らかにしています。

回答者の92パーセントが、現在の購入者はEVに単に異なるエンジン以上のものを求めていると答えており、90%がEVへの動きにより、彼らはカスタマーエクスペリエンスへより焦点を当てるようになったと答えています。消費者は、自動安全機能、車線逸脱防止などの運転支援ツールを求めており、快適なシートだけではなく、サスペンションシステム全体を、ボタンを1つ押すだけで、または画面や接続アプリをスワイプするだけで調整できる機能を求めています。消費者は、従来の車両に期待する価値と便宜性に加えて、EVのみが提供できるユニークな運転エクスペリエンス、静かな乗り心地、性能と環境へのメリットを求めています。

EVエコシステム内の企業は、車両の電動化は複雑な試みであると理解しており、高度な創意工夫、洗練されたエンジニアリング、そして次世代EVイノベーションに力を与える完全な統合生産が求められることを認識しています。最大の課題の1つが、車両への充電時間の短縮です。実際に31%が走行距離の延長とともに、充電時間の短縮に取り組んでいます。

顧客が求める機能とカスタマイズを提供するためにメーカーが搭載しなくてはならない電子制御ユニット(ECU)の数の増加が問題となりつつあります。ECUは今では、1台あたり100を優に超えることもあります。3分の1以上の回答者が、メーカーは、熱管理と高電流に伴う安全上の脅威を低減することに加え、ショック、振動、それらすべてのユニットのコネクターのゆるみや損傷のリスクを制御する方法を見つける必要があると述べています。

さらに、大量のケーブルを車両内に詰め込むことが難しくなっており、その軽量化がEVニーズにおける最後の項目となっています。アンケート回答者の34パーセントが、配線、コネクター、母線に苦労していると答えており、27%が重量の要因を具体的問題の1つとして挙げています。

自動ゾーン内

ワイヤーやケーブルの長さは、ゾーンアーキテクチャへ移行することで簡素化できます。回答者の84パーセントが、この簡素化したアプローチがEV設計の未来を代表するとしています。

オートモーティブワールドの最近の記事によれば、ほとんどすべてのOEMが車両当たり数十のECUを搭載する方法をやめ、数台の高性能コンピュータを利用する、よりシンプルで集中的なアーキテクチャへ移行し、ECUの利用、搭載、重量、最終的にはコストを最小化しています。

コラボレーションが重要

市場調査会社ストラテジーアナリティクスによれば、電動化のペースが速くなることにより、OEM戦略に大きな変化が生じています。自動車メーカーは先進技術への、より大きなアクセスと必須コンポーネントの供給を求めているためです。その結果、主流の自動車メーカーは、バッテリーベンダー、電動モーター開発業者、半導体メーカーと提携するようになり、これによりスキルギャップを埋め、これらの中心的分野において強く求められている経験を取得しようとしています。

当社のアンケート結果はこの観察事項を反映しています。メーカーは、イノベーションのための最適な道筋としてティア1またはティア2のサプライヤーとの協力体制の強化を挙げ、それを研究開発、資本投資、さらにはブレークスルー技術自体の出現よりも重視しています。サプライヤーも協力体制を優先事項とし、その製造パートナーとのイノベーションを加速するための研究開発と資本投資の増加に力を入れています。特に、バッテリー管理の最適化は皆が考えています。走行距離を延ばし、性能と充電時間の改善につながるからです。

回答者は、バッテリーセル、バッテリーモジュール、またはバッテリーパックと、電動モーターおよびパワートレインエレクトロニクスのイノベーションにおいて多くの成功を手にしています。彼らの最大の課題は、制御装置、配線、コネクター、母線、カメラ、センサーの向上です。設計チームも、バッテリーパックの寿命管理と廃棄問題を解決しなくてはなりません。

最適なパートナーを見つける

従来の車両アーキテクチャの特徴とも言える大量の網のような配線を単純化させることが、大幅な効率化とシンプルな製造プロセスを実現させる鍵となるでしょう。回答者の66パーセントが、コントローラー、配線、ケーブル、ゾーンアーキテクチャを含む、接続技術におけるイノベーションが、自動車業界の将来に大きな影響を与えると述べています。

メーカーはこれらの問題を単独では解決できません。31パーセントが、電動化のための社内専門知識が十分ではないと回答しています。しかも、多くがサプライヤーからも必要な支援を得られていません。42パーセントが、従来のティア1およびティア2のサプライヤーは電動化に関する十分な専門知識がないと回答しています。結果として、アンケート回答者の94%がこれから5年以内にサプライヤーを変える予定だと述べており、47%が電動化に深い経験を持つサプライヤーを希望するとしています。

最適なサプライヤーとの協力体制が将来の成功に欠かせません。モレックスは、コア接続、給電、信号強度、ゾーンアーキテクチャを使用するソリューションの開発において大きな進歩を遂げ、メーカーおよびティア1サプライヤーのための特定のデバイスとインラインアプリケーションをサポートしています。大手自動車メーカーおよび自動車サプライヤーにサービスとカスタム設計を提供してきた伝統のある当社は、新たなバッテリー管理ニーズに対応する有利な立場にあります。

電動化への優先ルートを進むにあたっては、ワールドクラス設計、統合生産、グローバルサプライチェーン、自動アセンブリー、そしてサステナブルコンポーネントへのシームレスなアクセスという、自動車メーカーに完全なエンドツーエンドの手法を提供する能力が、協力体制への大きな力となります。モレックスのアンケート結果で確認できるように、電動化の未来へのレースはその速度を増していますが、採用のみが主なハードルに対する改善を加速します。EVステークホルダーは、この重要な業界セグメントを前進させるために、これまでになくアクセルを全開にする必要があります。

電気自動車の未来に向けた道のり

長い間、遠くにぼんやりと見える景色にすぎなかった、よりクリーンで、グリーンなドライビングエコシステムへの移行の話が、ここ最近にわかに現実味を帯びてきています。

連邦政府による、EV開発支援金および税控除費用としての1,350億ドルの支出や、自動車メーカーにおけるEV車の販売台数増ならびに新テクノロジーやEV用バッテリー生産工場への投資拡大などが、EVへの移行に拍車をかけています。市場の潜在力は膨大です。国際エネルギー機関 (IEA、International Energy Agency) によると、世界120か国以上が今後数十年以内のネットゼロ・エミッション達成の誓約を発表しており、このうち20カ国が内燃機関エンジンを段階的に廃止し、最終的にはゼロにするとしています。

UBSインベストメントバンク では、2025年には、世界の新車販売台数のうちEVの割合は20%を占めるようになり、2030年までには増加の度合いを増して全体の50%に至るだろうと予測しています。ただし、この推定には、充電ステーションの数の少なさは含まれていません。しかし、最近、州間道路沿いへの50マイル毎の充電ステーション設置を目標に、50億ドルのインフラ関連予算が割り当てられたということですので、そういった点からは、このEV車の増加見通しには現実味があります。

自動車メーカー各社とTier1、Tier2サプライヤーにとっては期待のできる話です。モレックスがディメンショナル・リサーチに委託して世界規模で実施した調査では、回答者の93%が、電動化によって業界は大転換を迎えるという選択肢を選択しています。しかし、彼らメーカーは同時に、EV技術を消費者が期待するレベルに仕上げるためには、技術的な大きなハードルを超えなければならないという現実も理解しています。

機会と課題

今回実施した調査の全体的な実感としては、主要自動車メーカーにおける電気自動車の開発速度が加速しているという印象を得ています。大部分の回答者が、自社ビジネスにおいて電動化の重要性が増していると回答し、91%が、EVへの設備投資を増やしているとコメントしています。ただしこれはバッテリーを搭載するだけの話ではありません。本調査によって、自動車の電動化とは、消費者にとってもメーカーにとっても、単なるエンジンからモーターへの移行以上の内容を含むものである、という事実が補強された形となりました。

それはどういった意味かというと、92%の回答者が、昨今の自動車購入者はエンジン車よりも多くのことをEVに期待していると答え、90%が、EVへの移行によって、車内での顧客体験の部分をより強化していく方向になっているとコメントしているのです。消費者は、自動化された安全機能や、車線逸脱防止などの運転者支援ツールを必要とし、さらに、シート単体の座り心地にとどまらず、ボタン操作やコントロールディスプレイ、アプリ画面のタッチ1つで選択可能な、走行モードと連携して反応するサスペンションシステムまでを包括した、ドライビングフィールの良さを求めています。従来の自動車に対するのと同一の価値と便利さに加え、EVでなければ実現できないユニークなドライビング体験や静粛性、パフォーマンス、環境へのやさしさも求められています。

EVのエコシステム内の各企業は、自動車の電動化とは、例えば突出した創造性と高度なエンジニアリング技術、次世代のEVイノベーションを後押しする統合生産の仕組みなどを必要とする、複雑な道のりであることを実感しています。今後のEVに関しては、航続距離の延長と並んで解決の必要な最も大きな課題となるのは充電時間の短縮で、今回の調査では31%がこれに苦戦していると回答しています。

顧客が求める機能やカスタマイズの選択肢を増やすため、メーカーが車両に実装しなければならない電子制御ユニット (ECU) の数が増えており、これが多くの問題の元になっています。現在、車両1台には、100個を超えるECUが使用されています。1/3を超える回答者が、熱管理や高電流に起因する安全上のリスクの防止手段に加え、車載ECUへの衝撃や振動と各ECUに接続されているすべてのコネクターの緩みや損傷を管理する手段を、メーカー自身が見つける必要があると回答しています。

さらに考えてみると、大量のケーブルを押し込むスペースも厳しくなってきているところにEV用のケーブルを追加しなければならなくなっていることも、頭の痛い問題です。今回の調査では、34%が、配線、コネクター、バスバーに苦戦、そして27%が重量も一つの大きな問題だとコメントしています。

ゾーン型のアーキテクチャ

電線やケーブルの配線長は、ゾーンアーキテクチャへの移行によって短くすることができます。今回の調査では、将来の電動車の制御アーキテクチャ設計は簡素化される、という回答を選んだ回答者は84%でした。

Automotive Worldの最近の掲載記事によると、大多数のOEMが、車両1台に何十個ものECUを搭載するアーキテクチャから離れて、高性能コンピューター数個を使用したよりシンプルな構造のアーキテクチャに移行することで、車両に搭載するECUの個数とこれに伴う重量とコストは低下していくだろうと見られています。

コラボレーションが必須

市場調査会社、 Strategy Analyticsによると、電動化の加速に伴って自動車メーカーからの最先端テクノロジーと重要コンポーネントに対する引き合いが増えたことで、OEM各社の戦略にも変化が起こっているようです。このような流れの中で、主要自動車メーカーは、スキルギャップを埋め、この重要領域で必要な知見を得ようと、電動車向けバッテリーのベンダーやモーター開発企業、半導体メーカー等との連携を進めています。

弊社のアンケート調査結果にも、この調査会社の説明と同様の結果が現れています。メーカー各社からの回答には、Tier1やTier2のサプライヤーとの協働の拡大が、R&Dや資本投資、さらには自社で革新的なテクノロジーを生み出すよりも重要な、イノベーションへの最適な道筋であるというコメントがありました。サプライヤー各社においても、R&Dや資本投資を増やすことと並行して、コラボレーションを優先し、製造パートナーとのイノベーションを加速しようとしているようです。とりわけ、すべての立場の回答者が、航続距離やパフォーマンス、充電時間の改善につながる、バッテリー管理の最適化を考えています。

彼らはバッテリーセル、バッテリーモジュール、バッテリーパック、そしてモーターとパワートレインエレクトロニクスのイノベーションには成功しているようです。最大の難関はコントローラーユニット、配線、コネクター、バスバー、カメラ、そしてセンサーの性能向上です。設計担当者は、バッテリーパックのライフサイクルマネジメントと廃棄の問題も解決しなければなりません。

適切なパートナーを見つける

従来型アーキテクチャの特徴である、車両上に縦横無尽に張り巡らされた配線を、いかにシンプルにするかが、大幅な効率化と生産プロセスの簡素化を実現する鍵となるでしょう。今回の調査では、66%の回答者が、コントローラーや電線、ケーブル、ゾーナルアーキテクチャ等の接続技術の革新が、自動車業界の将来に大きな影響を与えるであろうと回答しています。

メーカー単体で接続の問題を解決することは難しいと見られます。31%が、車内には電動化の専門知識が不足しているとコメントしています。そして多くの自動車メーカーでは、まだサプライヤーから必要な協力を得ることができていないようです。42%が、従来からあるTier1とTier2サプライヤーは、電動化の十分な専門知識を持っていないと回答しています。結果として、94%が、今後5年以内にサプライヤーを変える可能性があると回答し、47%が電動化の経験豊富なサプライヤーを優先して採用すると回答しています。

将来の成功のためには、適切なサプライヤーと協働することが必要不可欠だと言えるでしょう。なお、モレックでは、車載制御システムの中心となる接続、電力、信号強度に関する技術、そしてゾーナルアーキテクチャを使用したソリューションの開発を大規模に進めており、大手自動車メーカーやTier1サプライヤー向けのデバイスやインラインアプリケーションを支える様々なソリューションを提供することが可能です。また、弊社は長年、大手自動車メーカーや自動車業界サプライヤー向けサービスとカスタム設計を提供しており、高まるバッテリー管理のニーズの問題解決にも協力できると考えています。

電動化への近道という点においては、世界トップクラスの設計、統合生産、グローバルサプライチェーン、自動アセンブリーライン、そしてサステナブルなコンポーネントへのシームレスなアクセスといった、完全なエンドツーエンドのアプローチを可能とする能力を提供することによって、自動車メーカーや業界サプライヤーとのコラボレーションを強化できると考えます。今回、グローバルに調査を実施したことにより、電動化の未来に向けたレースは加速しているものの、電動化に適応するためには、大きなハードルを超えるための改善が不可欠であることが改めて確認できました。今、EVのステイクホルダーは、業界のこの重要分野の発展を加速するため、ある意味アクセルをこれまで以上に力強く踏みしめていくことが必要ではないか、と考えています。

 

 

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