産業とアプリケーション
コロナのパンデミックは、ハイテク業界を含め、考えられるほぼすべての方法で根底から世界を揺るがしています。すべての人、すべての非営利団体・学術機関・企業・政府は、世界的な検疫に適応しながら事業を運営しなければなりませんでした。このような変化により、通信インフラおよびモバイルコンピューティングデバイスへのアクセスに課題をもたらしました。幸いなことに、多くの問題に対する解決策の一部は、パンデミック以前にすでに実用化されていました。通称5Gと呼ばれる次世代通信テクノロジーは、グローバルでリアルタイムな常時接続という世界的な需要に対応する重要なイネーブラーになると考えられています。その世界的な展開が今、加速しています。その結果、次の世界的災害に対処するために、世界ははるかに良い場所にいるはずです。
先進国の多くの人々は、この1年間に起こった数々の変化に慣れ親しんできました。遠隔医療や遠隔学習からフルタイムのテレワークに至るまで、私たちは、コロナの隔離から抜け出して、まったく異なる世界に足を踏み入れることになるでしょう。自動運転車・ロボット手術・空撮ドローンの利用増加など、この先起こるであろうその他の変化は、高速化・帯域幅拡大・低遅延化に対する世界の欲求が当分の間高まり続けることを意味します。
5G向けコンポーネントの再考と再設計
5Gシグナル用に対応できるアンテナやコネクターの電気的特性を考慮する前に、機械的な仕様の重要性が増しています。人々は、モバイル通信機器に小型軽量であることを期待しています。このため、部品の物理的寸法には厳しい制約があります。コネクターは、モバイル機器の中で最も大きなコンポーネントの1つであることが多く、フォームファクターが縮小し続けるため、エンジニアは、高速伝送用コネクターの設計において、より創造的になることを余儀なくされています。
コネクターの物理的な変更(嵌合スタイル、コンタクト形状など)は、特に、ミリ波周波数において、パワー用およびシグナルインテグリティに関する電気特性に大きな影響を与える可能性があります。その中でも特に懸念されるのが減衰です。減衰には3つの要因があり、抵抗損失と誘電損失、反射エネルギー損失、不十分なシールドによる放射または漏れがあります。
アプリケーションによっては、例えば5G基地局では、5Gシグナル用を128以上のビームに分割する可能性があるため、減衰がサービス品質に深刻な影響を与える可能性があります。あるいは、それを補うには、アンプなどの追加コンポーネント用として、コストと複雑さを高める必要があります。これらのコストは、5Gデバイスの数が膨大になることを考えると、あっという間に膨れ上がる可能性があります。ただし、アンテナやコネクターを単なる思いつきではなく、システム全体の設計に不可欠な部分として考えれば、こうした追加コストを「デザインアウト」することは可能です。
システムの視点を持つ
エンジニアの電気・機械・材料科学の知識を活用し、5Gコネクターとアンテナの設計に学際的なアプローチを適用することで、スマートフォンから産業用モノのインターネットを駆動する次世代工場設備まで、あらゆる種類の5Gデバイスに革新的なソリューションをもたらすことができます。この知識は、1つか2つの製品からなる小規模なポートフォリオを持つ画期的なブティック企業から、数百とは言わないまでも数十の製品を持つマーケットリーダーまで、さまざまなメーカーが求めるものです。
5G通信テクノロジーを活用しようとする企業や製品の種類は、5Gコンポーネントの製造能力が向上し、カスタマイズが可能になるにつれて、ますます増え続けるでしょう。コストを抑えるために、既製のコンポーネントに依存し続けるメーカーがある一方で、単価の上昇を犠牲にしてでも、完全に統合された高度にカスタマイズされたソリューションを求めるメーカーも多いでしょう。5Gコンポーネントの設計者とメーカーは、単なる部品メーカー以上の存在になる準備が必要です。設計のライフサイクルを通じてパートナーでなければなりません。
モレックスの優位性
モレックスは、今日のお客様の5Gニーズに対応できる幅広いアンテナおよびコネクター製品ラインを提供しています。当社のコネクター製品ラインでは、Mirror Mezzコネクター、2.2-5 RFコネクターシステム、QSFPコネクターをご覧になることをお勧めします。また、モレックスは、サブ6 GHz 5Gアプリケーションで使用可能な複数のアンテナ製品を提供しており、モールド相互接続デバイス/レーザーダイレクトストラクチャリング(MID/LDS)などの最先端の製造技術を採用しています。MID/LDSは、複雑な電気的・機械的構造を3次元的に緊密に統合することができます。お客様の視点に立てば、これは、2D製造プロセスで製造されたものよりも小さい5Gコンポーネントにつながります。
当社の価値は、コンポーネントの設計や製造にとどまりません。モレックスのテスト設備は、ローバンド、ミッドバンド、およびミリ波5G周波数帯域のテストが可能です。また、Ansys高周波構造シミュレータ(HFSS)およびComputer Simulation Technology社(CST)のStudio Suiteなど、最先端のシミュレーションソフトウェアも活用しています。製品開発時にモレックスと協力することで、OEMは、製品発売前に製品と関連コンポーネントが徹底的にテストされていることを確信できます。コロナ後の世界をより良いものにするために、コンポーネントだけでなく、当社の専門知識も活用したいとお考えのお客様とともに当社は働く用意があります。より良い医療・教育・ビジネスコラボレーションなどを可能にするシームレスなワイヤレス通信の世界
モレックスが、5Gとその影響・課題・機会についてどのように考えているかについては、「同軸およびマイクロ波用コネクターの将来」と題したこのディープダイブをぜひご覧ください。