産業とアプリケーション
コロナ禍は引き続きサプライチェーンに深い影響を与えており、昨今の世界情勢によってグローバルなロジスティックが前例がないほど圧迫されています。しかしモレックスでは、リアルタイムデータに基づいた重要な知識を獲得するための最新のツールとテクノロジーを活用し、当社と当社の顧客が予期せぬ事態に向けて確実に態勢作りができるようにしています。ここでは、国際・国内の貨物および輸送方法を最適化し、サプライソースを管理してグローバルサプライチェーンのリスクを軽減するための情報を提供します。
サプライチェーンはグローバルなイベントの影響を受ける
ワクチン摂取率が上昇するにつれ、パンデミックによる経済的影響が収まっていくことが切望される一方、サプライチェーンの崩壊は依然として現実であり、物流が滞り、地域によってはコロナが復活しています。飛躍的な需要の高まりと、長引くコロナ禍による事業運営の混乱が重なって発生した物流の滞りの最たる例が、世界的な半導体不足であり、市場や業界の広範囲に影響を与えています。他方、今年3月にスエズ運河でコンテナ船が立ち往生したことで発生した遅延によって、危機的状況が重なると、グローバルロジスティックがいつでも脅威に晒される可能性があることを改めて思い知ることになりました。プランニング、貨物輸送の最適化、運送会社や貨物輸送会社、サプライヤーとの関係におけるベストプラクティスによって、そのようなリスクの多くは防ぐことができます。
更新:国際航空輸送
国際航空輸送の需要は力強く戻ってきています。2021年3月は、過去2年以上で最高の月となりました。しかし、コロナの継続的な影響により輸送能力は引き続き逼迫し、料金は上昇すると予想されており、通常は貨物室に荷物を入れて輸送する長距離旅客機の飛行禁止につながっています。実際、世界全体の輸送能力は低下し、需要が増加しています。少なくともその原因の一部は、商業貨物の輸送能力に制約があることであり、コロナ前の2019年5月までの前年比で55%減少しています。
全体的に、製品の製造がコロナ前のレベルに戻っていることから、2021年を通じて航空輸送の需要は引き続き上昇すると予想されています
例えば、台湾はハイテク製品の製造を大幅に再開しており、中国、香港、ヨーロッパ、米国に向けて史上最大の輸出量を記録しました(資本設備と半導体を含む)。これに対し、モレックスは、同クラストップのプランニングを行い、運送会社や貨物輸送会社、サプライヤーと強固な協力体制を敷いているため、引き続き1キロあたりの輸送費を市場の平均以下に抑えることができています。
更新:国際海上輸送
海上輸送の需要は、過去に予測された以上に供給を上回っています。2021年の成長率は予測された3〜4%から8.9%に調整されました。海上輸送の供給は、国際貿易の増加、港湾の混雑、アジアでの深刻なコンテナおよび船舶不足によって抑えられています。この状態は2021年末まで続くと予測されています。
高まる需要とコロナの再興などの他の要因の影響で、月別の海上輸送率は上昇し、ヨーロッパ向けの輸送費はコンテナあたり1万ドル以上に上昇しました。米国向け輸送費も同様です。アジア太平洋から各目的地への輸送量は引き続き力強く、少なくともこの状態は2021年第三四半期まで続くと予想されています。一方、ヨーロッパから(特に北米・中南米向け)の輸送量は急増し、輸送費の上昇につながっています。また、第二四半期は燃料費の上昇が輸送費に大きな影響し、この状態は2021年末まで続くと思われます。
海上輸送のスケジュールの信頼性は低下し、世界的に、遅滞なしにコンテナが到着するのはわずか40%にとどまっており、平均6日間の遅延が報告されています。2021年初期に比べると改善しましたが、70%以上が遅れることなく到着したという、過去2年間の信頼率を大きく下回っています。空航行(貨物船が予定航路上の港、地域、またあ区間全体を飛ばして航行すること)は、荷揚げ窓口の不足、港湾・ターミナルの混雑問題が増大するにつれて加速すると予想されます。船舶の待機も輸送能力の混乱の一因となると考えられます。例えば、
ロサンゼルス港では船舶の渋滞がひどく、荷揚げまで7日以上待つ状態で、海上輸送のサイクルタイムを長引く原因になっています。
その結果、船舶の到着時間が大きく変わるようになりました。メーカーは、そうした変数を管理してサプライチェーンへのリスクを最小限に抑えるために、在庫に対する運転資金を増やしたり、生産計画プロセスを変更したりすることで対応せざるをえなくなっています。
地域の問題に正しい対策を取る
現時点では、アジア太平洋北部でモレックスの製品出荷に影響を与えている問題は具体的にはありません。一方、アジア太平洋南部では、各地でコロナ感染が増加しているため、モレックスの航空・海上輸送・国内トラック運送事業者のサービスは停止していないものの、遅れが生じています。例えば、中国でのコロナ感染拡大により、塩田港は3月に一時的に閉鎖され、再開以来輸送能力は改善したものの、混雑は続いています。
北米・中南米では、航空と海上輸送の両方の輸送能力が今年下半期に逼迫するという明確な兆候があります。海上輸送設備の不足によって北米のすべての輸出が影響を受けていますが、航空輸送では、一部の長距離旅客便が再開され輸送能力は徐々に増加しています。需要の増加とロッテルダムの物流の滞りによって海上輸送の遅延が続き、最低でも14日の遅延が発生しています。
あらゆる業界に広がるグローバルサプライチェーンのリスクを緩和するには、知識がパワーとなります。必要とされるプロセスおよびスキルは、リアルタイムのモニタリングと評価、グローバルなリスク対応です。そうしたプロセスおよびスキルは、顧客の業務運営と市場投入までのスケジュールに重要なのはサプライチェーンの弾力性と機敏さという当社の鋭い認識によって促進されています。誰もがこの不安定な状況を航行している中、モレックスは、活発に状況をモニターしてデータを解釈し、グローバルサプライヤーとしての経験を生かして、最終的に顧客の業績を最適化するクラス最高のリスク緩和策を適用します。