執筆：Bob Mahre
ビジネスデベロップメントマネージャー
運動感覚は時々、第六感と呼ばれます。身体の場所や身体が何をしているのかを感じ取る能力のことで、たとえば、自分の腕を見なくても腕を伸ばしていることが分かる、といったことです。こうしたレベルの認知が欠かせないのは人間に限ったことではありません。工場や製造現場について考えてください。システムのさまざまな部品が何をしているのか、それぞれの部品が常にどのように機能しているのかについて把握することが効率を考える上で不可欠です。サプライチェーンにも同じことが言えます。それぞれの製品や発送物の場所や状態を把握することが、製造業者、販売業者、物流業者にとって不可欠です。
このレベルの認知のカギとなるのは接続性能であり、今日の接続性能のカギとなるのが無線周波数（RF）無線通信です。無線周波数識別（RFID）は資産の追跡や在庫管理で何年にもわたって利用されてきましたが、最近、RFIDタグの性能だけではなくタグと通信するハードウェアやソフトウェアの性能も進化したことで、素晴らしい新たな可能性が拓かれました。
RFIDタグの機能
RFIDタグは幅広い用途に役立ち、さまざまな需要に応えるために幅広い形で利用することができます。医療や製造業、サプライチェーンやその他のさまざまな業界において、既存のハードタグ、フレキシブルタグ、結束バンドタグ、粘着ラベル、フェライトタグ、成形PCBタグを活用することができます。タグは短波（HF）用途でも極超短波（UHF）用途でも利用できます。UHFタグは読み取り範囲がはるかに大きいため、埠頭や倉庫の反対側からも読み取ることができます。カスタム化も可能です。ビルトインのアンテナ、LED、チップが含まれているタグ設計もあります。
RFIDタグにチップを埋め込むと追加的な機能を持たせることができます。チップによってはRFIDタグがセンサーになり、タグで温度や湿度を感知してその情報を記録・保存することができます。バッテリー駆動のRFIDタグは経時の環境を記録することができ、それを読み取って分析することが可能です。
RFIDタグは製品認証にも役立ち、間違いを冒すリスクを軽減することができます。たとえば、医療分野において、特定のタグが付けられたカートリッジやセンサーだけに作用するようデバイスをプログラムすることができます。それにより、意図していないエラーの可能性を最小限に抑え、偽物製品の利用を防止することができます。
LEDに埋め込まれたRFIDタグはリアルタイムの警告デバイスとしても機能します。一定期間の後に作動するように設定する、あるいは特定のパラメータを外れた環境条件についてユーザーに警告するよう設定することができます。この情報は手持ちや固定のRFIDリーダー、場合によってはスマートフォンで読み取ることが可能です。RFIDタグを利用すると専用ハードウェアの必要性が下がるため、より多くのユーザーがRFIDタグにアクセスできるようになります。
スマート工場用途
インダストリー4.0のスマート工場において、効率的なパフォーマンスを実現するには無線通信が不可欠です。RFIDタグはこれまで、在庫の管理や追跡において長きにわたり一般的に使用されています。低プロファイルRFIDラベルといったイノベーションや、小型RFIDソリューションの新たな開発を受けて、在庫と生産プロセス全体を通じて製品を追跡できるようになっています。工場全体がどのように機能しているのかについて全体像を作ることでプロセス改善の大きな機会が生まれます。安定的なRFID能力や絞り込んだ分析を使うと、製造メーカーはボトルネックや手法を特定してプロセスを加速化させ、時間とコストを節約しやすくなります。
物流用途
RFIDタグのセンサー機能は特に物流や輸送において価値があります。食品飲料業界や医薬品業界をはじめとするさまざまな製品は輸送プロセス全体を通して特定の温度や湿度の範囲内で保管される必要があります。こうした環境条件を感知できるチップを搭載したRFIDタグは、事前に設定した間隔でパラメータを記録することができます。目的地に到着した時点でこの情報を簡単に読み取り、製品が要件に沿って保管されていたことを確認できます。輸送プロセス全体で安全な保管条件を確認できる能力は、劣化した製品や利用できない製品にまつわるさまざまな問題を防止する上で役立ちます。
医療用途
製品ライフサイクルにRFID通信を組み込む利点は医療業界や医薬品業界において明確です。チップを搭載したRFIDタグをそれぞれの製品に追加すると複数の目的を達成することができます。在庫の追跡や検証に加え、RFIDタグを使って温度や湿度を追跡し、潜在的な問題に対する警告を発することもできます。製造企業は一定期間にわたってLED搭載のRFIDタグを事前にプログラムすることもできます。製品の期限が切れた時点で、あるいは在庫管理を向上させるためにLEDを点灯させることが可能です。たとえば、保存可能期間が終わりに近づいている製品のLEDを点灯させると、ユーザーは有効期限が切れる前にどのアイテムを使うべきか把握することができます。有効期限切れによる在庫ロスの問題への対応として、この機能を使うと非常に大きな節約になります。
特定の種類の機器や医薬品と併用すべき医薬製品についてもRFIDタグは適切な認証手法となります。製品が適切に使用されているかどうかを検知するチップをタグに埋め込むことができます。RFIDタグ付き機器や医薬品で承認されたものはタグによって認証されます。未承認機器や禁忌薬品など、不適切な製品だけではなく、場合によっては偽物の製品の使用を防止する上でも役立ちます。
カスタムソリューション
モレックスはグローバルに製造拠点を展開し、数十年におよぶ経験を有しており、製造や物流、医療など、数多くの業界のお客様に充実したサポートを提供しています。モレックスのRFIDタグはさまざまな周波数帯のまったく異なる17種類で、用途によってデザインや取付手法が異なります。標準的なモレックスRFID製品を利用すると、迅速な実装、柔軟性のある調達、コスト削減、開発の合理化を実現できます。
また、RFIDタグからのデータのダウンロードに便利なソリューションも提供しており、シームレスなアクセスに向けて2つのオプションがあります。ユーザーは手持ちRFIDリーダーか、モレックスの専用アプリ（iOSとAndroidデバイスでダウンロード可能）を入れた自分のスマートフォンのいずれかを使うことができます。このような汎用性の高いアプローチにより、ユーザーはそれぞれの特定の好みやデバイスに合わせて簡単にRFIDタグからデータを受け取ったりダウンロードしたりすることができます。
カスタム化された接続ソリューションこそがモレックスの差別化 モレックスは特定のニーズに合わせたRFIDソリューションをお探しの企業に多数のメリットを提供しています。
- 設計プロセス全体において、充実した分野横断的なエンジニアリングサポート
- コラボレーションとカスタム化に関する幅広い能力
- グローバルな製造拠点
- 同軸テクノロジーにおける数十年におよぶ経験
カスタム化されたRFIDソリューションには、ビルトインチップ、バッテリー電源、LED通知、その他さまざまな種類のタグ機能を含めることができます。モレックスのRFIDソリューションはスマート工場、物流、医療などの用途におけるさまざまなニーズに対応します。モレックスにご相談いただくにあたって、さまざまな課題に対応した適切なソリューションについて詳細な情報を入手してください。