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配線盤

モレックス、組み立て作業員に配慮した設計で労働者の安全を保護

最近の家電製品はかつてないほど機能が豊富になり、その結果、電子システムはより複雑になっています。機能が増えれば、組立ラインで嵌合するコネクターの数が増えることになり、人間工学に基づいたコネクター設計の重要性が浮き彫りになります。

読了時間: 4分

家電製品が成長を続け、ますます機能豊富になっていることは言うまでもありません。このニューエイジの機能性の根底にあるのは、電子システムや電子コンポーネントで構成される高密度のネットワークであり、その多くはやはり手作業で組み立てられています。作業者の安全がリスクにさらされているため、モレックスは当社の顧客と緊密に連携し、組立担当者をコネクター設計にまつわる概念の最前線に据えています。

お客様の課題

  • 家電製品のIoT機能が増加し、設計やその他の機能の合理化も進んでいるため、電子システムの密度と複雑性が高まっています。
  • 電化製品の組立スタッフは現在、反復動作や過労に起因する手根管症候群や筋損傷といった傷害のより高いリスクにさらされています。

モレックスの解決法

  • 家電製品メーカーやそのアセンブリーチームと緊密に連携することで、モレックスは容易なアセンブリーを実現するコネクター機能を設計しています。
  • コネクターはソフトウェアでテストされ、安全な嵌合力の範囲に確実に収まるように設計されており、また、人間工学的デザインに関するベストプラクティスを採用しています。

ハードワークを安全に

米国において、手根管症候群(CTS)は成人のおよそ5%に影響を与えており、いたるところで同様の状況が見受けられます。ジョンズ ホプキンズによると、CTSの二大原因は「頻繁に繰り返す細かな動作」と「握る動作」です。両方とも、アセンブリーラインの作業員、特にコネクターの嵌合まわりで非常によくある動作です。主要家電には現在、さまざまな電子機器のプリント基板(PCB)にシグナルコネクターが最大15個、パワー用コネクターが4~6個組み込まれていることから、モレックスには工場やアセンブリーラインの作業者を保護する社会的責任があります。

革新、エンジニアリング、専門知識、そして家電メーカーとの緊密なコラボレーションを通じ、モレックスのチームは、作業者のアセンブリーをもっと簡単に、快適に、楽しくする、すぐに使えるカスタムソリューションを特定しました。

作業者の安全を守る方法をいくつかご紹介します。

  1. 嵌合力の抑制: モレックスは低嵌合力のコンタクトを設計しており、また、ソフトウェアを使用してオペレーターが過度の力をかけることなく快適に接続の嵌合を行えるようにし、繰り返し動作による過労を和らげます。過労が抑制されることで負傷のリスクも低下します。
  2. ハウジング設計とリードインを考慮: ハウジングのプリアライメントとリードインのサポートにより、オペレーターはコンタクトをより迅速・簡単に嵌合することができます。さらに、リワーク(再加工)が排除されることで繰り返しの作業が減る上、作業員のフラストレーション源を解消することもでき、チームの幸福度と健全度を高めることができます。
  3. プッシュポイントのスムージング: コネクターの角を丸くすることで、オペレーターが接続部分を押し込む領域に鋭角な部分や危険な圧点がありません。これによって切傷や刺傷が減少する一方、より快適なアセンブリーも実現できます。
  4. 聴覚・触覚フィードバックの組み込み: 聴覚および触覚フィードバックにより、オペレーターは接続されたタイミングを聴覚と触覚で感知でき、作業員のもう1つのフラストレーション源である不必要な過労や後悔が減少します。

過剰な負荷を軽減

優れた顧客体験を提供するには、性能、品質、信頼性について設計するだけにとどまらない取り組みが必要です。嵌合力とは、コネクターの嵌合にどの程度の圧力が必要であるかを示す基準です。この嵌合力は、多くの設計エンジニアが最も重要な検討事項とするものではないものの、組立担当者の快適性と安全性に大きな影響を及ぼします。一般的なコネクターの目標となる嵌合力は圧力5.5~7lbsですが、電気器具メーカーによってその要件は異なります。モレックスはさまざまな設計技法を組み込み、嵌合の繰り返しに伴う肉体的苦痛や不快感を軽減します。

嵌合力の抑制に向けた設計だけでは不十分であり、モレックスはデータ駆動型のテストを通じてその実証を行い、アセンブリーオペレーターはさらなる安心感を得られます。モレックスでは、専用ソフトウェア「HandPak」を使用してコネクターの嵌合に必要な圧力をテストし、その圧力が安全な嵌合力の範囲に収まっていることを確認します。また、このソフトウェアは、新しいコネクターソリューションで実現される人間工学的な改善度を以前の設計の場合と比較し、作業員の健康と安全にとって重要な基準を提供します。

従業員の幸福度を改善

健康とは体に限られたものではなく、顧客の従業員を守るには負傷防止以上の取り組みが求められます。アセンブリー作業者のコグニティブヘルス(認知健康)に関する最近の調査によると、主要なストレス要因に含まれる時間的制約や精密加工は両方とも、電化製品のアセンブリーラインに当てはまります。色分けやメカニカルキーイングといったコネクター設計特性によって嵌合力を抑制することはできませんが、不確実性をなくすことができ、作業者は接続ポイントを容易に特定し、その判断に確信を持てるようになります。

精神と身体の健康も循環します。負傷を減らし、快適性を高めるように構築された作業場によって従業員の幸福度が高まることは明白であるように聞こえるかもしれません。しかし、従業員の幸福度を高めることは効率を高めることでもあります。アセンブリーラインにおいて、効率を高めるとミスが少なくなり、繰り返し作業が原因の負傷やプレッシャー下での意思決定に起因する負傷が両方とも減少します。

人間工学でビジネスを改善

人間工学的なアセンブリーを実現する製品設計は、現場のオペレーターだけではなく企業とその顧客にもメリットをもたらします。従業員の安全性と幸福度の向上は、従業員をつなぎとめ、パフォーマンスを高め、求人活動や雇用に関連するコストを回避する上で役立ちます。

また、電化製品のエンドユーザーもアセンブリーの人間工学的設計により、気付かないかもしれませんが多大なメリットを得られます。冷蔵庫のアセンブリーラインで働くオペレーターが疲労すると、製氷機で機能するコネクターを完全に取り付けられない可能性があります。2か月後にその冷蔵庫の購入者が製氷できないことに気付き、品質保証クレームを申し立てます。最適な嵌合力で取り付けられ、聴覚または触覚フィードバックを得られるコネクターであれば、こうした保証クレームや、消費者とメーカー双方の関連負担を回避できたはずです。

より安全な顧客体験を提供

モレックスにとって、顧客体験は設計エンジニアで締めくくられるわけではありません。モレックスは大手家電メーカーと連携し、より安全なアセンブリー環境の構築に伴う課題に取り組んで、負傷を抑制し、コグニティブヘルスを改善し、ビジネス強化に向けて貢献できることを誇りに思っています。そのため、TPA(端子位置保証)、ポジティブロック、ハウジング、極性、色、キーイングといった特性を取り込んで繰り返し作業、エラー、不確実性を最小限に抑えているのです。

モレックスは、顧客とそのアセンブリーオペレーターのニーズに積極的に耳を傾けることで、性能特性から、嵌合力といったアセンブリーの安全上の考慮事項に至るまで、製品ライフサイクル全体の特殊な要件に対するソリューションをカスタマイズしています。そのニーズがどのようなものであれ、モレックスのエンジニアチームがいつでも未来を変革し生活を改善するお手伝いをいたします。

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電子コネクター設計における人間工学的考慮

コネクターを人間工学的にするもの 機能豊富な家電製品に対する消費者の期待によって、作業者の安全と人間工学の改善にますます注目が集まっています。アセンブリーを支援するコネクターの特性をご覧ください。 

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