産業とアプリケーション
コロナのパンデミックの初期段階において、アイルランドのリムリック大学病院(UHL)は、人工呼吸器テクノロジーの需要が急増する可能性が高いと確信しました。潜在的なニーズに先行する形で、UHLはリムリック大学(UL)のCONFIRMスマート マニュファクチャリング センターを介し、SFIが後援するリサーチグループであるラピッド イノベーション ユニット(RIU)に連絡を取り、支援を求めました。これにより、設計・調達の専門知識についてモレックスに助力を求めることを含めた一連の取り組みがスタートしました。
RIUチームは、関連する業界パートナーのネットワークと連携し、ウイルス除去フィルターに対応する人工呼吸器用アダプターを見極め、その後12~18か月にわたり、コロナ陽性者とコロナの疑いのある患者を治療する医療従事者の防護を支援しました。とはいえ、適切な機能の提供に加え、そのアダプターを短時間で確実に大量生産できることも重要でした。この点で、モレックスは非常に貴重な存在であることを実証しています。
製造性考慮設計(DFM)プロセスを実施し、医療グレード材料についてモレックスが持つ既存の知見を活かすことで、モレックスは設計最適化を提案し、最終的に2週間足らずで試作品を開発することができました。
設計を念頭に置いて製造を実現
モレックスは当初の設計を受け取り、すぐに製造可能性の観点からそれを検討しました。当社のDFMプロセスは、成型プラスチック製造能力の確認から始まりました。モレックスのチームは、アイルランドの精密工作機械・金型メーカーであるウルトラ プレシジョン社とともにRIUと連携し、製造時の改良された射出に対応できるフラットな表面を生み出す上で排除可能な表面要素と放射状の構造物を特定しました。
モレックスは、その工程と金型自体の実際の物理特性を念頭に置き、その後、肉厚とそのアダプター上の切断点を検討しました。生産高をさらに増強できるよう、金型は2個取り金型として設計しました。一貫した肉厚で射出の改善、着実な冷却、さらに信頼できる性能を実現しつつ、クリーンな切断面によって返しとげを排除し、製造後の追加作業をなくすことができます。
設計の最適化とウルトラ プレシジョン社が作成した金型を用い、当社は、性能、製造可能性、透明度の各要件を満たす適切な医療グレードの材料を特定する必要がありました。モレックスは、医療製造環境で取り組んできたこれまでの経験を活かして高品質の材料を迅速に見極めてテストできただけではなく、このベンダーとの既存の関係性によってこうしたユニットに十分な製造キャパシティを結集させることができたのです。これはつまるところ、ニーズが発生したタイミングでモレックスがすぐに対応できたということです。
先を見据えて
モレックスは引き続き、お客様がタイトなスケジュールでも個々のニーズに対応できるソリューションを見出せるよう全力で支援しています。モレックスは業界パートナーとともに、ほぼどのようなアプリケーションでも独自の設計、材料、製造の経験をすぐに提供できます。