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スマート農業のパワーとRFテクノロジーの役割

著者:ダレン・シャウアー
RFおよびマイクロ波製品担当製品マネージャー

農業の世界は、常に新しいテクノロジーを採用してきました。綿繰り機に蒸気エンジンをいち早く採用した時代から、農家は歴史上の最も偉大なイノベーターでした。都市で働く工場労働者に食糧を供給する商業的農業の進歩なしに、産業革命は想像できません。本稿は、農耕と農業におけるスマートテクノロジーの発展とその影響について、さまざまな角度から探求する新しいシリーズの最初の記事です。

他の分野の発展が目覚ましかったために、近年、農業分野における進歩は影が薄くなっていました。しかし、マイクロエレクトロニクスやインターネットなどの先進技術がニュースになる中で、農業分野におけるイノベーションのペースと意欲は鈍化していません。インテルインフォグラフィックが示すように、21世紀半ばには世界の人口は100億人近くに達すると予想され、農家は増産と効率向上のためにすばやくテクノロジーを採用しています。

スマート農業

産業界における過去10年の大きなトレンドの1つはスマート工場の成長です。スマート工場という名称は、製造部門におけるコンピューターと機器類の間で見られた接続性増加の発展に向けて与えられたものです。スマート工場内では、機器はデータを収集し、それをネットワーク全体で共有し、メーカーが変化をモニタリングして迅速に対応することを可能にしています。農業においてもこれに並行したトレンドがあり、スマート農業と呼ばれています。

スマート農業は最新のセンサー、コンピューティング、接続テクノロジーを採用し、データを使用して農家がその生産を最大化できるようにします。このデータはさまざまな情報源から収集され、最適な土壌の状態を特定することから、家畜の健康のモニタリング、その栄養の調整まで農家の意思決定を助けるために使用されています。収集されるデータ量は膨大なものですが、スマート農場のテクノロジーは、個別の農場や家畜に対して戦略を適用することができ、リソースを最大限利用し、生産性を最大化できることを意味します。

この膨大な情報の収集、共有、処理に新しいテクノロジーは必須です。現代のエレクトロニクスは、小型化し、生産コストを下げ、電力消費を効率化して、必要となる大量のセンサーの運用を可能にしました。これらのデバイスは、農場内の静的な場所に設置したり、トラクターやコンバイン収穫機などの動的なプラットフォームに取り付けたり、さらに、広大な地域において個々の家畜を追跡できるよう家畜に与えたりされています。

これらのいずれの用途においても、情報ネットワークへのセンサーの統合は、データの収集、共有、分析を可能にします。従来型のケーブルで行うか、無線通信ネットワークで行うかに関わらず、スマート農場を定義するものは、この接続性です。

新たなテクノロジー

5G通信の導入は、農家に新しい強力なツールを提供しました。消費者市場が、この新しいテクノロジーを最も目に見える形で採用していますが、5Gの能力はその他の分野でもはるかに大きな影響を与えています。5Gは、有線に匹敵する速度で無線通信を提供するだけでなく、これまで最新の高速ネットワークへのアクセスがなかった人里離れた地域にも接続の可能性を与えます。

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この接続性はスマートファームにとって完璧なものです。5Gテクノロジーは、農家が初めて、テクノロジーのすべての分野を一体化したネットワークへ統合することを可能にしました。静的なセンサーとリモートモニタリングデバイスは、すべてリアルタイムなデータを農家に提供します。これらをGPSナビゲーションなどの他の先進技術と組み合わせると、農家は最も必要とされる場所でそのリソースを正確に使用することができるようになります。

従来の農場機器でさえ最新テクノロジーの恩恵を受けます。無線技術を使用した迅速な通信機能は、最新世代のトラクターに導入されつつあります。低レイテンシーな車両間(V2V)通信は、自動または無人車両の利用を可能にしつつあります。GPSをガイドとし、スマート農場ネットワークからのデータを使用して、トラクターおよびその他の農業用車両は監督なしに安全に運用することができます。農家はこれを空中においても利用し、無人航空機(UAVやドローン)により、データ収集と空中からの肥料の散布を行うことができます。

対応策:RF技術の役割

無線周波数(RF)通信は、これらのイノベーションの多くの中心にあります。デジタル技術の現代にあっては、無線システムはいまだに通信のために高周波電波送信器と受信器に依拠していることは忘れがちです。データを圧倒的な速度で送信する最新機器において、設計者は高性能RFコネクターに依拠しています。しかし、最新技術を農業に取り入れるには、解決しなければならない課題があります。このシリーズの次の記事では、これらの課題のいくつかについて見ていきます。

モレックスは無線アプリケーションのためのあらゆるソリューションを製造してきた何十年もの経験を有しています。最新の5Gテクノロジーを利用し、優れたシグナルインテグリティの製品を設計することで、モレックスは農業においてみられる過酷な環境でも運用できる、最大65GHzの周波数を持つケーブルとコネクターのソリューションを製造することができます。

次の段階:農業用機械へのスマートテクノロジー導入における課題