産業とアプリケーション
オートメーション業界、特にネットワーク分野においては、レベルの数が増え続けています。システムの異なるレベル内で送信される情報は、オートメーションピラミッドの中で図示されます。そして産業生産においては、各平面の境界線は極めて曖昧になりつつあります。
図1:オートメーションピラミッド
従来型の生産ラインでは、さまざまなコネクテッドデバイスは5つの異なるネットワークシステム経由で管理されています。
- イーサネット
- フィールドバス
- セキュリティ
- 電力供給(24V)
- 電力供給(400V)
各レベルについて、データの送信と処理についていくつかのテクニックが開発されています。それぞれが異なるコネクターとケーブルシステムを備えています。ハード配線に加え、信号の送信についてはRJ45および M8 もしくは M12 のプラグコネクターシステムが採用されています。電源要件については、M12、7 / 8、M16、M23およびさまざまな矩形のコネクターシステムが通常使用されています。
業界は現在、フィールドバスとイーサネットネットワーク内における安全技術に対応するための開発に向け大きな進歩を見せています。モレックスは、イーサネット、Ethernet IP、ProfinetおよびCIP Safety専用に開発された製品により、これらの開発をサポートしています。
同じように、無線接続も人々の仕事やプライベートにおける通信方法を変化させ、工場オートメーションネットワークの運用方法も革新されつつあります。進捗はゆっくりですが、より多くのネットワークが現在無線イーサネットプロトコルを使用して新しいデバイスを追加し、危険な場所へネットワークを広げ、ロボットセルやマテリアルハンドリングシステムなどの動作中のデバイスやシステムへの接続を確立しつつあります。このトレンドの一部は、プラント内の最もコスト効率の良い接続により推進されています。「接続ピラミッド」図を検討すると、ネットワーク上のエッジまたはエンドデバイスに到達するとき、ワイヤレスの最大のインストールコスト節減となることは明らかです。
さらに、より多くのネットワークにおいて、新しいデバイスを追加するために、無線イーサネットプロトコルが実装されつつあります。これは大部分は、インストールコストを節減するためですが、システムの柔軟性も上昇し、モバイル通信も可能となります。これは追加の電源供給が必要とならない場合のみ可能です。追加の電源供給と高速伝送レートが同時に必要となる場合、新しいトレンドは複数のさまざまな信号と電源ケーブルをハイブリッドソリューションで置き換えることです。
図2:ハイブリッドコードセットの例
ハイブリッドソリューションでは、さまざまなシグナル用配線とパワー用配線を一緒にしてハイブリッドコネクターで接続します。ハイブリッド技術における長年の経験を活かし、モレックスはさまざまなシステムにハイブリッドソリューションを実装してきました。
イーサネットアプリケーションには従来RJ45プラグとソケットが使用されてきましたが、Cat5EおよびCat6へと進歩し、今ではパワーオーバーイーサネット(PoE)となりました。今日、10ギガビットイーサネットでのデータ伝送と、ポート当たり30Wの電力の両方を、標準的なイーサネット経由で伝送することができます。ネットワークルーター、電話、ウェブカメラなどのオフィスアプリケーションにおいてPoE技術は長年、成功裏に使用されてきました。
PoEコンポーネントは既にネットワーク内で使用されており、最大で16ポートのデータ伝送を行います。業界は当初、プラグインモジュールを使用して、配線を置き換え、より高いセキュリティを確保しつつ、より柔軟で高速なソリューションを生み出しました。産業ネットワーク(ProfibusやProfinetなど)の利用増加とともに、トランクや分岐線のある配電ボックスが使用されています。
以前は屋内のオフィス環境のみで使用されていたRJ45プラグインシステムは、円形または矩形の筐体を追加して産業用に使用されています。これと同時に、ハイブリッドソリューションも開発され、電源ハーネス内で追加で提供可能となりました。これらのソリューションはコストがかかり、はるかに堅牢で信頼性が高く、よりコンパクトな設計を達成しているM12システムで置き換えられつつあります。
図3:M12ハイブリッドコネクター
モレックスのM12シリーズのハイブリッドCHT(円形ハイブリッドテクノロジー)は、標準型のM12フォーマットの2つのシグナル用シールドコンタクトのペアと、追加の2本または4本の電源供給用コンタクトに対応します。Cat5E線では、これは最大100MHzの信号伝送と、10A以下の電源コンタクト2本と6A以下の電源コンタクト4本の接続を可能にします。
図4:RJ45ハイブリッドコネクター
そのため、1本の線で、とても厳しい環境においても、監視カメラ、エンコーダー、オートメーションコンポーネント用のセンサーを接続することができます。これと同時に、M12ハイブリッドシステムを使ってIP67産業用配電ボックスを拡張するための進歩が見られました。
産業アプリケーション以外でも、M12ハイブリッドプラグインシステムは、自動車、商用車、造船に使用される頻度が増えており、鉱業およびオフショア産業でも使用されています。
ハイブリッドテクノロジーが使用される最近の例は、照明業界のものです。昨年、欧州の町には新しいクリスマスのライトが取り付けられました。設計および都市再開発の他に、経済とサステナビリティが強調されました。
クレジット:Robonaut GmbH, CH-8006 Zurich, Switzerland:www.robonaut.ch
この照明プロジェクトは無数の星を使用しました。それぞれが、14のLEDを使用して14の光線を発します。9,800の星の光が、中央装置から個別に管理され、暖かい白色光で輝きます。中央装置からの信号がサブディストリビューションのDMX/ACNイントラネットプロトコル経由で送信され、EtherCAT信号に変換され、追加の分電ボックス経由で星へと送信されます。照明システム全体には約1000のEtherCatノードがあります。たとえばビデオ信号を送信することができ、それらはモノクロのビデオ画像のように星の光を生成します。
旧市街の道に沿って星を連ねるには、ケーブルが必要となりますが、データと電力を供給する2本のケーブルを1本にするために、モレックスのCHT 4+2コネクターを使用してM12ハイブリッドプラグインシステムを実装します。
美的なメリット(街路上のケーブルが少なくなる)に加え、ハイブリッドプラグインシステムは、コストと時間の大幅削減を実現します。従来のシステムと比べて必要となるケーブルが半分になるためです。固定された壁取り付け式の分電ボックスにはハイブリッドデバイスが格納され、対応するハイブリッドケーブルコネクターへネジで固定されます。これにより照明の組立と解体が迅速にでき、小型の耐湿接続は何年間も使用できる信頼性を持ちます。