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がんとの闘いに力を合わせるイグザクト・サイエンシズとフィリップス・メディサイズ

ポール・シャフィン
医療および製薬ソリューション部門担当シニアバイスプレジデント兼社長

フィリップス・メディサイズ社におけるあらゆるカスタマーエンゲージメントが、明瞭さと信念を持って当社の目的を果たす力になっています。「可能性を現実にする」という当社の最も重要なミッションはカスタマーコラボレーションの指針です。フィリップス・メディサイズのエンドツーエンド設計、開発・製造能力は最高レベルの精度と品質を持って達成されるようになっています。

顧客重視のマインドセットの一環として、当社は、まずエンドユーザーを念頭におき、そこから遡る形で取り組み、当社の製品があらゆる状況で最適化されるようにしています。このことの実現のためは、フィリップス・メディサイズの部署を超えた専門家チームが、様々な視点からあらゆる可能性を評価しています。新しいコンセプト、製品、または革新的医療機器は、満たされていない市場ニーズに応えているか? 問題解決のアプローチは革新的で、フィリップス・メディサイズが意味のある付加価値を提供できるか? 当社は、特に市場参入戦略の推進で乗り越えるべき落とし穴がある場合に、見込み客管理チームがプロジェクトに投入するコミットメントの度合いの評価もします。さらに最後には、多くの厳しい質問を自問して、フィリップス・メディサイズが取引先企業のビジョン達成に理想的であるかどうかの判定もします。

がん検診・診断テストの分野の第一人者であるイグザクト・サイエンシズ社の場合は、すべてのチェックボックスに躊躇することもなくすぐにチェックが入り、力を合わせて結腸直腸がんと闘うことになりました。当社は、がんの検出と治療に関する情報を人々が迅速に得られるようにするという、イグザクト・サイエンシズのミッションに動かされました。そうすることで人々は詳細な情報を得て決断し、すぐに行動することができます。そして、そのことは最も大切なことです。そして当社は、イグザクト・サイエンシズ社が、結腸直腸がん向けの最初にして唯一のFDA承認の非侵襲性便DNAスクリーニング検査である Cologuard®製品のビジョンを実現に参加できることを嬉しく思っています。

全米がん協会によると、結腸直腸がんは米国の女性・男性を合わせた死亡原因の第2位であり、今年だけで約5万3000人が死亡しています。早期に発見された場合、症例の約90%は治療可能ですが、50歳以上の成人のおよそ3人に1人は、推奨されている結腸直腸がんの検診を受けていません。ここにイグザクト・サイエンシズ社の出番があります。

イグザクト・サイエンシズの科学者は、マヨ・クリニックと緊密に協力し、結腸直腸がんの存在を示している可能性がある兆候やシグナルの発見に取り組んでいました。そして、その集団的取り組みの成果がサンプルのDNAの変化の有無を探し、がんまたは前がん状態の発見につながる複数標的糞便DNA検査という形になっています。複数のバイオマーカーを使用できる能力は、自宅診断の簡便性とともにコロガードの明確な差別化要因です。

共同研究

イグザクト・サイエンシズ社は、Cologuard®のビジョンを実現すべく、同様の原則や哲学に熱心なた経験豊富なメーカーを探していました。辿り着いたのがフィリップス・メディサイズ。非常に生産的な数年規模のコラボレーションをスタートしました。

フィリップス・メディサイズ社と協力し合えることはすぐに分かりました。同社の人間第一主義の文化は我が社の文化にピッタリでした。スタート時点では、イグザクト・サイエンシズはまだFDAの認可を受けていませんでしたが、高度な設計・製造能力を備えた「ワンストップショップ」である当社は、イグザクト・サイエンシズがヘルスケア業界に大変革をもたらす存在となるよう後押しできることに自信がありました。その後は周知の通りで、現在では、最新のモレックスケーススタディに記録されています。

確かな経験

フィリップス・メディサイズは、製品の品質、患者中心の設計、サプライチェーンの最適化に関して、イグザクト・サイエンシズと共通の哲学を持っています。同様な考え方で、ヒューマンファクター設計、複雑な成形、試薬の取扱、完成品のパッケージング、ラベリング、滅菌、そしてISO 13485を順守した施設での大量生産を伴うこのプロジェクトを進めました。

Cologuard®は処方箋がある場合にのみ手に入り、収集キットは自宅に送付されます。キットには、ブラケットやフタ付き収集器、プローブ、収集チューブ、DNA保存液など、糞便のサンプルを収集するために必要なものすべてが含まれています。年齢や能力を問わず、あらゆる患者が自宅で便利に検査できるよう、明確な手順と使いやすい収集キットを提供することを意図したものです。

ここでは、イグザクト・サイエンシズが45歳から90歳の人々の手の強さや器用さの度合いを評価できるよう、フィリップス・メディサイズのヒューマンファクター設計者が大きな役割を果たしました。人間工学に特に注目し、そのことが収集器のフタの改良につながりなりました。収集キットのチューブやブラケットも改造して、確実に密閉して不注意による漏れがないよう安全対策を講じ、簡単に使えるようになっています。

力を合わせて、形態や機能に関連する様々な複雑な問題を解決しました。フィリップス・メディサイズの製造エンジニアのおかげで、可能な限り最高品質の製品を製造できるよう仕様や公差を強化できました。もちろん、当社の本社がウィスコンシン州ハドソンにあり、イグザクト・サイエンシズの本社が数時間離れたマジソンにあるという至近距離が奏功して、対面会議、ホワイトボードセッション、リアルタイムの会話を行いやすく、プロジェクト管理を効率的に進められたことも確かです。

緊密なコラボレーションも、サプライチェーンのリスクを軽減するために大いに役立ちました。私たちは、サプライヤーとの強固な関係性と購買力を活用し、キットの製造を拡大するために必要な部品、製品、原材料をすべて買い上げることができました。また、必要に応じて代替の供給源を見つけて、非常に必要な樹脂を入手し、安全在庫とスペアパーツを増やしました。

製造革新の推進

フィリップス・メディサイズは毎年約50点の新製品を商品化しており、問題を予測し、修正を迅速に行うことに長けています。複雑な成形とプラスチックにおける当社の専門知識は、性能を向上させる新しいコンビネーションに繋がることが多々あります。また、私たちは工具・成形・製造・組立・品質テストの微妙な違いも理解しています。これらは、Cologuard®の製造を推進する上で非常に重要であることが証明されています。

私たちは小さく始め、当初は手動の生産ラインだったものを、勢いが増すにつれて半自動化、最終的には自動化されたラインにスケールアップしました。それぞれの移行を通して得た知識は、次の製造ラインまたは設備に活かされました。当社ではこれは標準の業務手順であり、製造量は市場投入の各ステップに合わせて調整することができます。通常、顧客は臨床研究をサポートするために数百のユニットを必要とし、その後、より広範な臨床試験に参加するために数千ユニットが必要となり、次に、規制当局の承認を得て数百万または数千万の製品にスケールアップすることになります。

この各段階で、世界規模の拠点と製造の増減に合致するトップクラスの品質プロセスに裏付けられた製造の革新が必要となります。コロナによる特別な増減を除いて、この同様のアプローチがイグザクト・サイエンシズ社にも取られました。医師やクリニックがコロナによる混乱に対処するために右往左往する中、私たちはイグザクト・サイエンシズと協力して混乱を最小限に抑え、必要に応じて生産を拡大または縮小する計画を策定しました。その間私たちは、あらゆる協議と決定でイグザクト・サイエンシズのミッションを中心に据えながらリソース配分を改めて生産スケジュールを調整しました。

その結果、双方が迅速かつ効率的に動き、リスクを軽減して、世の中の動きが戻ってきたら合理的に生産拡大するために何が必要かを判断しました。力を合わせてコロナ禍を切り抜け、がん検診が動きを取り戻し、前例のない速度で普及する前に、素早く生産拡大をしました。その好例をご紹介しましょう。2014年第四四半期のCologuard®発売では、4,000セットの収集キットを出荷しました。2021年現在、毎週4万セットの検査キットを出荷しています。

このような急成長に後れを取らず、かつ厳しいヘルスケア要件および規制要件に適合させるべく、当社はアーカンソー州リトルロックにあるモレックスの施設の製造ラインを改造しました。そうすることで当社は3つの製造ラインを稼働させ、かってない需要に対応しています。現在では、600万人以上のアメリカ人がCologuard®を使って、自宅で簡単に結腸直腸がんの検査を行っています。私たちは、イグザクト・サイエンシズとともに達成した成果を心から誇りに思っており、早期発見から後期治療まで、患者のがんとの闘いを支える次世代の製品をさらに作り上げることに尽力していきます。

詰まるところ、フィリップス・メディサイズとイグザクト・サイエンシズとの関係の成功は、オープンな姿勢と相互の信頼、可能性を現実にするためのコラボレーションがもたらすとてつもないパワーにあります