産業とアプリケーション
状況
電動化、自動運転、安全機能や高速伝送用無線コネクティビティといった自動車業界のメガトレンドは持続しているだけではなく、さらに広がりを見せています。モレックスは自動車OEMの意思決定者230人を対象に調査を実施し、2021年1月にその結果を公表しました。この調査で、91%の回答者が「未来の自動車」は完全電動またはハイブリッドになると回答しました。さらに、94%が自動運転機能の搭載を予測する中、高速伝送用Wi-Fiとワイヤレス充電が最も一般的な機能になると回答しました。実際に、大規模ディスプレイ、カメラシステム、LIDARといった検知センサーなどの安全支援システムやドライバー支援システムはほぼすべてのモデルで増加しています。また、エンジニアはこうしたトレンドによって、これらの機能の能力増強と、より高密度かつ小型のコンポーネントを用いた機能強化を促されています。
進展中の新たな電子システムのこうした急速な拡大を支援するため、設計者は小型化を進め、結果として新たなコンポーネントと相互接続テクノロジーを追求せざるを得なくなっています。多くの場合、設計者は、モバイル電子機器や家庭用電化製品に共通するコンポーネントや相互接続に目を向けてきました。しかし、マイクロコンポーネントによって自動車設計におけるスペースの制約が緩和されるものの、設計者はこうした厳格なアプリケーションにおける信頼性を実証する必要もあります。また、自動車OEMとそのサプライヤーは、顧客の期待に応えるために、広範な温度定格、衝撃と振動の検証など、電子部品における一定のエクセレンスが要求されるとともに、車載生産部品承認プロセス(PPAP)に従う必要があります。
トレンド1: 複数のディスプレイパネル
自動車設計者は車内インテリア全体で液晶ディスプレイ(LCD)画面を増やし、大型化させていることから、電線対基板用コネクターなどの従来使用されてきた相互接続システムは、コンパクトなファインピッチ フレキシブルケーブル(FFC/FPC用)コネクターに置き換えられています。これらのコネクターシステムは、高ピンカウント、高周波、増大するコンポーネント密度、正確なアラインメントのニーズをサポートしています。自動アセンブリーの実現やより優れたコンポーネント密度の提供によって新たな付加価値を持つ電子的な機能の余地が生まれ、FPCコネクターシステムも経済的に意味を持つようになる可能性があります。
ソリューション1: Easy-On FFC/FPC 0.50mmピッチコネクターおよび1.00mmピッチコネクター、FD19
トレンド2: カメラとセンサーの増加
バックアップビジョンに加え、自動車に追加されるカメラのレベルも年々上昇しています。特に自動運転機能と安全運転機能は、カメラとセンサーから取得したデータを使用します。多くのカメラとセンサーは車外に設置されているため、そのコンポーネントは信頼できる接続性を確保するために苛酷な環境に耐えなければなりません。設計者は、苛酷な温度、振動、衝撃、湿度や汚染物質にさらされかねない精密なカメラコネクターインターフェースを保護する必要があります。また、これらの安全システムは不具合を起こしてはならないため、そのインターフェースの保護はシステム設計者にとって非常に重要な課題です。
ソリューション2: FAKRAカメラ・バックシェル・アセンブリー
トレンド3: 消費者の統合
自宅や職場はこれまで以上にコネクテッドになっていることから、ドライバーや乗客は車内でも同じ環境を得たいと考えています。現在の自動車購入者は、ワイヤレス充電、高速データ、Wi-Fiを期待しています。USBポート1つではもう足りません。USB Type-Cによる高速充電が普及するにつれ、消費者はダッシュボードや後部座席に複数のポートを期待するようになるでしょう。
トレンド4: 相互接続済みのPCBを備えたモジュール
自動車はモバイルコンピューティングプラットフォームになっていることから、自動車設計に組み込まれるコンポーネントと自動車用プリント基板(PCB)の数は増えることになります。これらの電子機器は振動に耐えることができなければならない上、性能に影響を及ぼして故障やモジュールの交換を引き起こしかねないはんだ接合上のストレスを緩和できなければなりません。