消費者がスマートフォンやノートパソコンで体験する使いやすさは、医療機器メーカーに高いハードルをもたらしています。実際、モレックスの調査によると、設計エンジニアの43%が、顧客の期待の高まりが設計作業を複雑にしていると回答しています。「ユーザーエクスペリエンスは突然、重要性が高まったのです。デバイスの動作が気に入らなかったり、使いにくいと感じたりすると、ユーザーはそのデバイスを使わなくなります。医療機器メーカーにとって、これは本当に難しいことです」と、ベドフォード氏は述べています。
さらに医療機器設計者は、多くの場合、長年にわたるユーザー調査に基づく反復作業ではなく、ゼロから設計し始めています。また、広く普及している既存の医療機器であっても、必ずしもその水準に達しているとは限りません。2020年に行われた血圧計とパルス酸素濃度計の消費者操作に関する学術調査において、研究者は「どちらの機器も使い勝手が悪い」ことを発見しました。
この研究は、健康なボランティアを対象に行われました。しかし、「急性期の患者にとってはさらに悪い結果になる可能性があることを忘れてはならない」と、研究者は警告しています。「実際、患者は痛み、吐き気、ストレスを伴う術後の状況にあり、多くの場合、自宅で機器を使用するために家族の助けを必要とします。」
また、医療現場では危険な行為となる、デバイスを実験する傾向があることもそのしわ寄せの1つです。「携帯電話であれば、設定をいじってうまく機能するようにできます。しかし医療機器の場合、間違って注射を打ってしまうかもしれません」と、ベドフォード氏は語ります。
ユーザビリティの改善ペースを上げるために、エンジニアはアジャイル開発プロセスを採用するようになっています。モレックスの調査では、設計エンジニアチームの半数以上が、アジャイル手法、継続的イノベーション/継続的デリバリープロセス、またはその両方を採用していると回答しています。
アジャイル開発と継続的インテグレーションにより、設計者はより頻繁にコードを変更し、コラボレーションを強化し、設計を改善することができます。また、このプロセスでは、定期的なサイバーセキュリティのレビューも可能であり、土壇場でのプレッシャーやバグだらけの初期リリースを回避することができます。
また、多様性に富むチームを編成することも、設計の改善に役立ちます。異なるタイプの専門知識を持つエンジニアがインサイトを共有することで製品全体を改善できます。モレックスの最近の調査によると、近年、設計者の約半数が専門分野に深い専門知識を持つエンジニアを加えています。
モレックスのグループ企業であるフィリップス・メディサイズは、多様なバックグラウンドを持つエンジニアがUX(ユーザーエクスペリエンス)チームの視点を広げるお手伝いをしています。
シンプソン氏は次のように語っています。「私たちは、消費者向け製品の設計に携わった経験を持つ人員を含む、ユーザーエクスペリエンス設計者を育成し、認定しています」 「コンシューマ向け製品は、魅力的な体験を生み出すために設計されています。医療機器にもそうしたものを求めるとよいと思います」。