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イノベーションの小型化: スマートシンキングがスマートウォッチをさらに賢くした理由

機能追加競争の中で、コンシューマーエレクトロニクスの設計者は、迅速にイノベーションを起こす必要があります。

このことは、主要スマートウォッチメーカーにも当てはまることで、次世代モデルにさらに機能を追加したいと考えていましたが、回路基板には、そのような新しい機能を収納できえるスペースはありませんでした。このメーカーは、テクノロジーを可能にするために不可欠なコネクターが、主な回路基板の貴重なスペースを取りすぎてしまっていたことに気づき、この問題に対処するようモレックスに相談しました。2010年にスマートフォンが登場して以来、モバイルデバイスやウェアラブルに向けて400億以上の基板対基板マイクロコネクターを販売してきたモレックスには、このお手伝いをするだけの能力があります。

新しい設計を素早く案出する

この問題を解決するために、モレックスはスマートウォッチメーカー、フレキシブルプリント回路(FPC)プロバイダー、契約メーカー(CM)と緊密に連携して、設計案を迅速に統合し、作業の進行に応じて提案された変更の実現可能性を確認しました。

このように、納期に追われる中での卓越したチームワークの結果、業界初となるマイクロコネクタの千鳥配置を実現しました。従来の設計に比べて最大30%のスペース削減を実現したこの新しい4列品基板対基板コネクタは、新しいセンサーや機能追加に必要なその他のハードウェアのための広いスペースを確保することができたのです。

この問題を解決するためモレックスは、このスマートウォッチメーカーと同社にフレキシブルプリント回路(FPC)を提供しているプロバイダー、そして回路メーカー(CM)と緊密に協力して迅速に設計のアイディアをまとめ、作業を進めながら変更提案を反映できるようにしました。

厳しい期日に応える情熱的なチームワークの結果、マイクロコネクターに対する業界初の千鳥格子状の回路レイアウトが誕生しました。従来の設計の最大30%のスペースを削減するこの新しいQuad-Row基板対基板用コネクターにより、付加機能の提供に必要な新しいセンサーや他のハードウェアを入れるために必要なスペースをかなり確保できることになりました。

社内のコラボレーションを土台にする

これまでにない高密度を実現するには、高精度で小型化に特化した日本の製造チームとエンジニアとの緊密な連携が必要でした。この2つのチームは、業界では異例の社内ツールによってリアルタイムで連携しました。

製造現場とエンジニア間の連携自動化と相互接続により、アイデアから実装に必要な時間が短縮されました。モレックスのエンジニアは、コネクターの嵌合に若干の変更が必要であることを認識しました。そこで、コネクターの破損を防ぐためのインサート成形の内部補強、嵌合作業での損傷を防ぐためのインサート成形の電力ネイル、適切な嵌合位置を容易にするためのアライメント(嵌合誘い込み)を設計したのです。

モレックスは、個人とグループの意思決定を強化するコーク・インダストリーズ社の Principle Based ManagementTMの原則に基づく協力体制を基盤としています。このコラボレーションアプローチの重要性は、設計エンジニアの92%が設計環境においてコラボレーションスキルが技術的専門知識と同様に重要であることに同意している最近の Design Engineer Tell-All survey 調査によっても検証されています。

信頼されるコンサルタントとしての役割

実際、モレックスのコラボレーションアプローチは、お客様やサプライヤーにも広がっています。時間の経過とともに、これらのコラボレーションは深い関係へと発展し、戦略的技術アドバイザーとしての役割を拡大しています。

基板対基板用4列コネクターの場合、モレックスのエンジニアは、SMTサービスプロバイダーが製造しやすいように標準の0.35mmピッチを使用していることを確認しました。0.30mmピッチより小さいものは、現在、効率的かつ正確に組み立て、処理することが困難です。契約メーカーの製造可能性と組み立ての信頼性を維持するために、モレックスのエンジニアは、取り付けパッドの使い慣れたレイアウトをそのまま維持する必要があると判断しました。その代わりに、チームは制御可能なもの、すなわち内部信号接点のレイアウトに焦点を当てました。

モレックスのエンジニアリングチームは、FPCの設計、開発、製造のグローバルリーダーの専門家と協力して、ピンをできるだけ近づけることで、4列のピンを0.175mmの信号接点ピッチでより近く配置することができると判断しました。その結果、史上初の千鳥配置の回路レイアウトにより、30%というこれまでにない省スペースを実現し、高密度回路接続を可能にしました。

これは、一貫したチームワークと、モレックスが顧客およびサプライヤーエコシステムと強固な関係を形成することに専念していることによって実現したものです。FPCサプライヤーのR&D部門に賛同者を設けることで、エンジニアリングチームはFPCサプライヤーとスマートウォッチメーカーを説得し、マイクロコネクターをFPCにはんだ付けするなどの重要な設計変更に導くことができました。これにより、設計の観点で方向性が決まり、より狭いスペースに多くの機能を搭載する重要な機会が開かれました。モレックスの設計エンジニアは、この設計変更により、大規模な製造時の信頼性も向上すると評価しています。

イノベーションの未来

メーカーは、スマートフォン、イヤホン、AR/VRデバイスなどの小型製品の機能を拡張し続けているため、高密度実装が進むPCBは高さ方向の拡張性を維持しながら、非常に小さなフットプリントを維持する必要があります。基板対基板用4列コネクターのような新しい設計は、シグナルインテグリティなどの問題を心配することなく、イノベーションを起こすのに役立ちます。

そのため、部品だけでなく、協力できるサプライヤーを持つことが非常に重要です。モレックスは、5G、mmWave、RF、シグナルインテグリティ、アンテナ、電力、カメラ、およびディスプレイテクノロジーにおける実証済みの専門知識により、モバイルデバイスのエコシステム全体にわたってこのアドバイスを提供しています。

モレックスは、1億5000万個以上の基板対基板用4列コネクターを出荷しており、現在、一般販売も可能になっています。モレックスのコラボレーション文化と早期の段階での顧客とコラボレーションにより、高度に差別化された設計コンセプトが開発され、新しい構成も間もなく登場するため、その探求が続けられています。

この前代未聞の密度に達成するには、モレックスのエンジニアと、高精度と小型化に注力する日本の製造チームとの緊密な協力が必要でした。この2つのチームがリアルタイムで協働できたのは、業界でも類を見ない能力を備えた社内ツーリングのおかげです。

製造現場とエンジニアがオートメーションと相互接続で繋がっていたことによって、アイディアを実現するために必要な時間が短縮されました。モレックスのエンジニアは、コネクターの嵌合部分にいくつかの修正が必要なことに気付くことができました。コネクターの破損を防ぐ挿入成形の内部装甲を考案したのは、その答えです。挿入成形のパワーネイルによって嵌合時の破損を防ぎます。アライメント部分が広いことで容易に正しい位置での嵌合ができます。

モレックスは、個人とグループに決断する権限を与えるという、Koch Industries社のマーケットベースマネジメント(MBM®)の原則に基づいてコラボレーションの基礎を築きました。このアプローチでのコラボレーションが重要であることは、最近行った「設計エンジニアの声 」調査で実証されています。設計エンジニアの92%が、設計環境では、コラボレーションスキルが技術的な専門知識と同じく重要であると回答しています。

信頼できるコンサルタントとして

モレックスのコラボレーションアプローチは、顧客およびサプライヤーにも及びます。時間の経過と共にコラボレーションは深い関係へと発展し、戦略テクニカルアドバイザーとしての当社の役割は広がっていきました。

Quad-Rowマイクロコネクターの場合、モレックスのエンジニアは、SMTサービスプロバイダが標準の0.35mmピッチを採用して、製造しやすくすくしていることを知りました。現状、0.30mmよりピッチが小さくなると、効率良く正確に組み立てることは困難です。CMでの製造のしやすさと組み立ての信頼性を維持するために、モレックスのエンジニアは、取付用パッドのおなじみのレイアウトは元のままにしておく必要があると判断しました。そうではなく、制御できるもの、内部信号の接触部分のレイアウトに注目したのです。

モレックスのエンジニアリングチームはFPCの設計・開発・製造分野の世界的リーダーの専門家と協力し、ピンをジグザグ状にして可能な限り近づけることで、0.175mmという非常に近い信号接触部分のピッチでピンを4列に配置できると判断しました。その結果、前代未聞の30%の省スペースという史上初のジグザグ状の回路レイアウトを実現し、高密度の回路接続を可能にしました。

こうしたことのすべてが、一貫したチームワークと、顧客およびサプライヤーと強固な関係を築くことに対するモレックスの熱心さから可能になったことです。FPCサプライヤーの研究開発部に賛同者が増えることで、エンジニアリングチームはFPCにマイクロコネクターを半田付けするなど主な設計変更を行うようFPCサプライヤー、スマートウォッチメーカーを説得することができました。これで設計が根本から変わり、狭いスペースにより多くの機能を詰め込む大きなチャンスが広がりました。モレックスの設計エンジニアは、この設計変更は大量生産での信頼性の向上にもなるとも見ています。

イノベーションの未来

メーカーは、スマートフォンやイヤホン、AR/VRデバイスなどの小さな製品の機能を拡大し続けています。ますます高密度になったPCBは、高さのスケーラビリティを維持し、非常に小さなフットプリントを維持する必要があります。Quad-Rowなどの新しいコネクター設計では、イノベーションでシグナルインテグリティなどの問題を心配しないですみます。

部品のためだけでなく、コラボレーションにおいても頼りになるサプライヤーを持つことが重要なのはそのためです。モレックス、5G、mmWave、RF、シグナルインテグリティ、アンテナ、電源、カメラ、およびディスプレイテクノロジーにおける実証済みの専門知識によって、モバイルデバイスのエコシステム全体でこのアドバイスを実践しています。

これまでに1500万個のQuad-Rowコネクターを出荷しており、現在では商業用途に利用できるようになっています。モレックスのコラボレーションの文化および早期段階からの顧客とのコラボレーションは、非常に差別化した設計コンセプトの開発につながりました。モレックスはこのコンセプトを引き続き探求し、近いうちに新しい構成も誕生します。