産業とアプリケーション
モレックスの大和サイトおよび鹿児島サイトと連携するお客様は、製品の突発的な需要増加の中、製造を早める必要がありました。このお客様はモレックスベトナムを選択していましたが、コロナのパンデミックで旅行や移動が制限されたことから、製造を日本からベトナムに移すことは極めて難しくなったのです。
お客様のローンチ期限を守るためのプレッシャーの高まりに直面し、モレックスチームは、知識の共有とプラント能力の迅速な構築をクリエイティブに進める必要がありました。
日本モレックス、金型・金型めっきエンジニアリング部門ディレクターであるヨネヤマ・セイゴ氏は「この製品の製造は非常に複雑でしたので、ベトナムチームが日本チームからの現場サポートなしで製造をそのサイトで開始しようとしなかったことが特に重要でした」と語っています。
メンテナンスエンジニアや品質エンジニアといった数名の技術者が短期間だけ来日できたため、1月に対面による知識共有が始まりました。2月には、金型や型打ち機の技術者やエンジニアが現場デモに向けて鹿児島を訪れ、4月にベトナムに戻り、4名の日本人技術者も同行して現場で製造の立ち上げを支援する計画でした。しかし、2番目のグループはコロナが原因で計画どおりにベトナムを訪れることができなかったのです。
「私たちは時間と戦いながら大急ぎで取り組みました。コロナウイルスが蔓延し、ほどなくしてパンデミックに突入しましたが、モレックスの支援をとても必要としていたお客様もいました。もちろん、私たちは従業員の安全を危険にさらすつもりはなかったので、この移行を成功裏に進めるオプションの検討を開始しました。」と、日本モレックスのシニアディレクター、フクダ・ジュンイチ氏は語ります。
機械と製品ラインを日本からベトナムへ移動させ始めたら、知識の移転も必要になりました。それに伴う複雑な製品ラインと製造能力にもかかわらず、日本チームは、ベトナムのチームが実質的に準備を整えられるような最大限のテクノロジーを活用したいと熱心に考えていました。
「私たちは、リモートワークで活用可能であったテクノロジーとあらゆる能力を迅速に取り入れる必要がありました。ベトナムの現地チームが後れを取らずにこの取り組みに関連した製品ラインと知識を移転するための日本チームとベトナムチーム双方の迅速な思考に感銘を受けています。」と、モレックスベトナムのプラントマネージャー、グエン・ナム氏は語ります。
書面による詳細な計画から、Microsoft Teamsのライブビデオ通話、ビデオカメラを活用したBluetoothオーディオのライブストリームに至るまで、両チームはこの難局の大半を活かし、(バーチャルで)お互いを頼りにし、トレーニングを実施してそれに参加しました。
プラントリーダーシップによると、成功のカギは柔軟性と頻繁なコミュニケーションであったということです。
「関与した全員がこの段階で方針を設定して把握しました。事実上、これはまさしくチャレンジでした。両チームは相互に忍耐強く、それでいて切迫感をもって行動し、この成功を実現させたのです。日本チームとベトナムチームは対面で連携できる時間こそあまり多くありませんでしたが、お互いに常にコミュニケーションを取っていました。」と、グエン・ナム氏は続けました。
5か月にわたり、100時間を超えるライブストリーミングとビデオ通話を経て、両チームは成功を収めることができました。品質チェックはスムーズに進み、金型と型打ち機の状態も良好でした。そして、現在ベトナムで製造されているこの製品は適格認定されました。両チームは、製品およそ500個をお客様に納期に合わせて成功裏に納入できました。
グエン氏は、関与者全員を称賛して次のように述べています。「鹿児島、大和、ベトナムの各チームのサポートと取り組みに感謝してもしきれません。彼らの熱心な取り組みと、早朝深夜を問わない頻繁な通話がなければ、当社はこの製品ラインをベトナムで成功裏に立ち上げることも、お客様のニーズに応えることもできなかったでしょう。最も困難な時期にあっても、モレックスのチームは世界中のどこででも、バーチャルでも連携して成功できることを実証しています。私たちは真にワンモレックス(One Molex)です」。