メインコンテンツにスキップ
サプライチェーン

サプライチェーンの世界における課題と機会: 2024年の見通し

当社では、世界的な供給の混乱に直面しても予測可能性を維持し、納期達成率を高めるための取り組みを日々行っています。それによって得られた独自の視点から、2024年に向けて有益なインサイトをご紹介します。

執筆: ドン・フナティシン
モレックス最高サプライチェーン責任者

読了時間: 5分

 
2020年代は劇的な出来事、機会、そして不確実性の時代になりつつあります。需要の変動、在庫のリバランシング、貿易と関税の変化、貨物輸送とロジスティクスの最適化、人工知能(AI)など、急速に進化するテクノロジーの影響について考えるとき、来年について正確な予測をすることは可能でしょうか。モレックスでは、カスタマーエクスペリエンスを優先してデジタルサプライチェーン機能への投資を行い、世界的な供給の混乱に直面する中でも機敏さ、パフォーマンス、予測可能性を発揮することを重視しています。また、2024年に向けた有益なインサイトを共有できるように、独自のサプライチェーンならではの視点をお伝えします。

市場の需要

多くのサプライチェーンチームにとって、2024年の課題は、地政学的な出来事への対応はもちろん、産業の経済サイクルがコロナ後に正常化していく中での、需要に関する不確実性に対応することでしょう。特定の業界では、バックログの縮小による在庫のリバランシングとリードタイム短縮が続く一方で、AI、データ・センター、クリーンエネルギー、輸送、ヘルスケアといった分野ではイノベーションとトランスフォーメーションが新たな機会と需要を促すことになるはずです。モレックスでは、新年も引き続き、最終市場は変化の激しいものになると考えています。2023年は輸送セクターが好調でしたが、金利をめぐる世界的な不確実性が自動車業界にとって逆風になる可能性があります。EVはイノベーションサイクルが続く可能性が高いものの、材料費のインフレにより、以前の予想よりも価格帯が上昇しています。 

当社はサプライチェーンの弾力性にも注力して、データ・センター市場の拡大を重視したAIへの多額の投資に対応しており、新テクノロジーの規模を拡大する時期を早めます。医療機器業界や薬物送達業界における重要な機会に加えて、産業製造分野のグローバルな再配置も今後極めて重要になってくるでしょう。また、モレックスでは、在庫のリバランシングが進む中で、データ・センター市場、特に医療分野で見られる多額の投資を評価しています。 これらの市場にはそれぞれ微妙な差異があるため、当社がサービスを提供する市場の各カテゴリーにおける需要を把握することは、モレックスにとって極めて重要なイニシアチブになります。  

貿易と関税

貿易と関税についての懸念事項は2024年も同様である一方、サプライチェーンチームにとっては引き続き、地理的な選択肢を増やすことが、地政学的リスクを軽減し、サービスレベルを向上させ、リードタイムを最適化するための重要な戦略となります。引き続き焦点となるのは、データエコシステムを接続して意思決定プラットフォームを支援することにより、カスタマーエクスペリエンスと在庫管理を改善することだと予想します。この戦略は、2024年のエレクトロニクス業界において特に重要であり、メキシコと東南アジアに強く偏る傾向があると考えています。 

過剰在庫

2021年と2022年の強い需要により、この2年間でエレクトロニクスのエコシステム全体で在庫が大幅に増加しました。その結果、2023年には「在庫過多」とも呼べる状態になっています。バリューチェーン全体の在庫水準は引き続きリバランシングが進む中で、この状態は2024年前半、場合によっては後半まで続くと予想されます。

貨物輸送とロジスティクス

2023年の明るい材料を1つ挙げると、通行量の多い車線での運賃がパンデミック前の水準に戻りつつあります。2024年の主な課題は、商品および労働投入コストでしょう。こうしたコストは、労働力のインフレ、地地域事、為替レートによってこれからも変動します。投入コストは2024年中も高止まりする可能性が高く、こうした環境では選択性がますます重要になるでしょう。2024年には、実用的なインサイトを活用する適切なパートナーとの協力が不可欠になります。  

分析とAI

小売業界では何年もの間、機械学習を活用して、「デマンドセンシング」などのインサイトを業務環境と市場に組み込んできました。他の多くの業界もこの進化の道をたどり、データ主導の意思決定を強化することになるでしょう。モレックスでは引き続き、お客様の期待に応え、運転資金を改善するために、需要計画の精度と供給ネットワークの機敏さを高めるAI機能を強化しています。 

モレックスは、需要および供給計画立案に対するインサイトを向上させるため、データエコシステムの充実に積極的に取り組み、モレックスのツールが提供するデータ主導のインサイトを効果的に解釈するデジタルDNAを持つチームの構築を続けています。 

モレックスにおけるその好例は、グローバル販売および業務計画と実行(GSOP&E)において、強化された機能、テクノロジー、知識プロセスを活用する能力です。私たちはデータを収集して、過去のシナリオと将来のシナリオを検討するモデルを開発・トレーニングし、さまざまな結果を改善し、特定しています。わかりやすい例は過剰在庫です。このアプローチを用いると、機械学習と新しいデータ要素を利用して、在庫の健全性と流通速度を最適化できます。潜在的な結果について有益なインサイトを生み出し、自分たちのネットワークでより良い意思決定を行うことができます。結果として、納期遵守率が向上し、お客様にとっての可視性が向上します。 

これからの予定としては、2024年も引き続き、インテリジェントなデジタルサプライチェーン戦略の一環として、単なるサプライチェーンの実行ではなく、よりデジタルかつデータ主導のビジネス成果を重視する姿勢に移行していきます。 

2024年の予想シナリオ、予想外のシナリオにかかわらず、組織はコラボレーションとデータ共有を取り入れ、最新の分析とAIを含むデジタルトランスフォーメーションを追求することで、2024年の市場や世界の変化に対応する機敏さを発揮できる立場になるでしょう。重要なのは、将来の出来事を予想するだけでなく、あらゆる市場環境に対応し、相互利益をもたらすことができるデジタルサプライチェーンのDNAを持つ能力と組織を構築するビジョンを持つことです。 

 

 

シェア