産業とアプリケーション
需給の予測可能性、信頼性、継続性:成功へのカギ
今年末までに、モレックスは期日納品を50%向上させる計画です。こうした大胆な引き上げを達成するためには、需要や在庫、供給にかかるプランニングと日々の実際の業務との調整を大幅に変更する必要がありました。この目標のために、当社ではモレックス・グローバルセールス事業計画・執行(GSOP&E)向けの全く新しいプログラムの開発と導入から着手しました。
プログラム全体の目標として、顧客体験と従業員体験の改善を中核に定めました。従業員体験の向上が顧客に対する追加的なサービスのメリットに最終的にはつながるのです。より透明性の高い意思決定を推進し、業務の効率性や信頼性を高めるために優れたツールでこうした決定を支えていきたいと考えました。
しっかりとした意思決定を進めるためにGSOP&Eを見直す
当社のGSOP&E 2.0プログラムには、財務、業務、市場への影響を考慮した部門横断的な意思決定プロセスが含まれています。この部門横断チームは、販売、製品マネージャー、サプライチェーン、業務、物流、財務といったあらゆるステークホルダーで構成されています。戦略や業務、戦術にかかる変数を含め、さまざまな時間軸や領域から決定を導き出すためのチーム構成になっています。あらゆる需要源と供給源を考慮し、広範な供給ネットワーク全体の決定にかかる重要な変数を総合的に勘案します。顧客をサポートするという点で当社の利益に最も適う決定を下していくことが目標です。誤解のないように述べると、こうした決定が個人や個別部門の利益に最も適うものではない場合もありますが、顧客需要を満たすというモレックスの事業目的や計画と常に合致するような決定になります。
GSOP&Eのモデルには情報の流れを促すプロセスやツールが含まれ、これによって予測データをもとに将来を考慮した決定ができるようになります。よって、重要な決定のタイミングにあわせた事業のリズムができ、社内の全員が推測ではなくリアルタイムのデータに基づいて実行できるようになります。
このプロセスには4つの柱があります。
- プロセス調整 - プロセスに一貫性とリズムがあると、定まった役割や責任、説明責任を持ってGSOP&Eのプロセスを効率的に執行していく支えとなります。
- デジタルイネーブルメント - Kinaxis Tool Suiteによってしっかりとしたサプライチェーンモデリング機能を生かしたプロセス。Kinaxisから得られる透明性によって、プランニング組織全体が一貫した信頼できるデータをもとに作業できるようになります。
- データ主導の決定 - GSOP&Eモデルの力を通してタイムリーなデータ主導の意思決定をしていく場が生まれます。これによって、プランニングの領域が戦術から業務へと移っていく中で、ネットワーク全体を最適な位置づけにすることができます。これには業績モニタリングが可能で、計画からの逸脱の根本原因分析を進めるための主要業績指標(KPI)が含まれます。
- 単一の部門横断的な計画 - 商業、財務、業務、供給の協働による単一のGSOP&Eの計画で、戦術的な領域(2~24カ月)に注力します。
このプロセスや成果を支えているのは以下のミッションを指針とした規律です。
- 目標に向けた協働 - GSOP&E 2.0の取り組みでは部門間の協力が促され、商業、業務、財務のプランニングプロセス全体で1つの計画を作成します。計画は商業、財務、業務、サプライチェーンの業務モデルや戦略、意思決定を下支えするものであるべきです。
- 階層的な決定アプローチ - プロセスのすべての段階において意思決定の説明責任が明確に定義されています。重大な決定はプロセス内で上申され、事業の戦略や目標との整合性が図られます。
- 明確に定義された責任 - 明確な役割と責任を伴った説明責任と監督体制によって、GSOP&E 2.0のプロセスの完全性が守られます。リーダーシップは決定を下す前にあらゆる部門を総合的に勘案する必要があります。
- 一貫性のあるパラメータ - 需要や供給、需給バランスにまたがった戦術領域は連続する2つの24カ月の期間で定義され、GS&OPのプランニングプロセスでカバーされます。業務領域は0~3カ月と定義され、GS&OE(グローバルセールス&事業執行)プロセスでカバーされます。
こうした構成要素や分野が一体となって会社全体で1つの方向性に向かいます。つまり、部分的な数字から工場や事業ユニットに向かい、その後部門レベルに向かいます。その中には明確な役割や責任、決定ポイントが存在しています。従業員にとっては、意思決定プロセスの責任者が明確になり、部門間協働が改善し、業務が予測しやすくなるという結果になります。顧客にとっては、利用できる供給の増加、納品成績や信頼性の向上、発注リードタイムの削減、ラインダウンコストの排除という価値につながります。
GSOP&E 2.0の次の段階
2023年6月末までにすべての事業ユニットにGSOP&E 2.0を導入する計画です。Kinaxis Tool Suiteというデジタルのバックボーンを全社的に採用してこの取り組みを支えます。これによって、モレックスは、スピードや効率性、正確性を犠牲にせずにGSOP&Eを目的変更として拡大し、調整を図っていくことができます。GSOP&Eプロセスによって、ユーザーはローリングフォーキャストと制約ベースの供給プランニングを組み合わせて、財務や戦略、サプライチェーンにかかる目標を最善の事業成果に合わせていけるようになります。
一連のツールによって、モレックスでは総意に基づいたプランニングが可能になり、知見を得つつ部門横断的なステークホルダーによって決定を精査するため、サプライズが減ることになります。正確性が高まる一方で、迅速で協力的な計画策定によってGSOP&Eのサイクルが短縮することになります。財務目標との一貫性をもって整合性を取るために主要な財務データをサプライチェーンのプランニングに取り込み、持続的なコスト削減と利益成長も達成されます。
こうした向上や改善は、出荷の信頼性や透明性を高めるための能力向上に向けて戦略的に注力しているモレックスの取り組みの一部です。当社のお客様には当社が提供し得る最高のものを経験していただけます。GSOP&E 2.0はこのコミットメントを果たすための欠かせないステップなのです。