メインコンテンツにスキップ
画像

5Gの現状:タイミングがすべて

アルド・ロペス
モレックス社データコム・ソリューションズ社長

5Gの機運が高まるにつれ、これまで抑圧されていた超高速ダウンロードやミリ秒レベルの遅延、宝の山のような変革的なモバイルデータアプリケーションに対する需要も高まっています。ネットワークのエンドツーエンドの大規模アップグレードにより、5Gインフラストラクチャを構築するには大規模なイノベーション、投資、リソースが必要になります。

モレックスが最近公表した「5Gの現状」調査では、5Gがもたらすすべてを実現する上で必要な要素について、ごく初期の段階にあるものの、5Gに関するすべての分野で着実な進歩が見られることがわかりました。

ほぼすべてのアンケート回答者が、自分たちの5G事業目標を5年以内に達成すると予測しており、その4分の1はかなりのメリットをすでに実現させています。興味深いことに、日本と韓国の消費者の50%以上が5G展開による利益を既に獲得しているグループに含まれています。米国の消費者の4分の3が、これから2~5年の間に基地局、小型基地局ネットワーク、および全体的なインフラストラクチャの継続的設置が進み、漸増的なメリットが得られると予想しています。その結果、5Gネットワークが全世界で普及するにつれ、5Gは先進のデバイスとアプリケーションにおける一層の成長と製品開発をもたらすはずです。

調査に参加した、通信キャリアコミュニティ内で5Gに関与している200名以上のステークホルダーによると、5Gテクノロジーがその潜在能力をすべて発揮するには、解決しなければならない障害が残っているということです。彼らは周波数帯の問題、消費者ユースケースの欠如、および規制に関する継続的な課題に直面しており、また、テクノロジーの成熟度と全体的なインフラストラクチャコストも阻害原因であるという点で全員の意見が一致しています。特にこれらの要因のため、回答者の46%は、2020年の実際の5G展開を予定どおりに進めることができなかったと述べています。

とは言うものの、全体的にはいくつかの明るい兆しもあります。コロナ禍は世界経済およびさまざまな産業に甚大な影響を与えましたが、驚くことに回答者の33%が、コロナ禍は5Gテクノロジーのロードマップ開発を加速したと回答し、19%が5Gの導入と展開のための努力向上につながったと回答しています。しかし、回答者の54%はコロナにより5Gの展開が遅れたとし、39%は今後のロードマップに遅れが生じたと回答しています。

レベルの高いコラボレーション

5Gエコシステム内のすべての業界やプレイヤーと歩調を合わせるには、ハイレベルなコラボレーション能力が必要です。これは、インフラの更新、屋外の小型基地局の複雑な構築作業、新しいエッジコンピューティングデバイスの開発、その他多くの調整が関わる壮大な作業です。新たな5Gのスタンダードに向けて全員が革新を進められるよう、チップセットメーカー、ソフトウェアディベロッパー、ハードウェアメーカー、コネクティビティソリューションプロバイダーとの調整も大事に維持していかなければなりません。

回答者によれば、ネットワークオペレーターがそのビジネスの目標を満たすために最も重要なテクノロジーあるいは業界の変化は、インフラコストの低減 (41%)、5G展開を実現するテクノロジーのイノベーション (31%)、そして接続を必要とする新たなタイプのデバイスの入手 (26%) ということです。

少しずつ、可能な限り5Gに移行していく機会を求めることも同様に重要で、必要なコストや能力等をすべて一気に満たしていく必要もありません。じょじょに向上する見込みについて評価する質問では、ミリ波 (39%)、sub-6 (32%)、低出力広域 (29%) が5Gのメリットを実現する最初の要因になると回答しています。

ネットワーク構築にいったん弾みが付けば、LTEにsub-6が足されることによって、既存インフラやモデム、アンテナ、コンポーネントを使用しながらの低遅延化と高速化が実現し、状況は大きく改善するでしょう。これに対し、ミリ波がもたらす変化は大きなものになります。

ミリ波には高周波が関係するため、展開にはアンテナを含むすべての主要RFコンポーネントを同一の集積回路上に搭載したモバイルデバイス向けのチップセットが必要になります。相互接続の面では、ミリ波向けコネクターの許容誤差を精密に調整する必要があります。さらに、ミリ波の短い伝播距離に対応するためインフラへのもっと大規模な投資も必要になるでしょう。もちろんこのとき伝送距離を延ばすために小型基地局の役割も重要になってきます。

すべての点を考慮すると、ミリ波は有望ではあるが、大きな課題もあると言えます。86%の回答者が、このテクノロジーには5Gのほかの部分よりもポテンシャルがあるが、リスクも大きいと回答しているのはこのためです。

5Gエコシステム内のすべての組織や参加者が足並みを揃えるには、レベルの高いコラボレーションが必要となります。これは、インフラストラクチャのアップグレード、屋外小型基地局の大掛かりな構築作業、新たなエッジコンピューティングデバイスの開発、その他多くの調整が関わる壮大な作業です。チップセットメーカー、ソフトウェア開発者、ハードウェアメーカー、接続ソリューションプロバイダーとの調整体制も構築し、新たな5G規格に向けて皆が確実にイノベーションを推進できる体制にしなければなりません。

ネットワーク運用者がそのビジネス目標達成のために必要とする最も重要なテクノロジーまたは業界の変化として回答者が挙げたものは、インフラストラクチャコストの低減(41%)、実現テクノロジーのイノベーション(31%)、そして接続を必要とする新しいデバイスタイプの利用可能性(26%)でした。

同様に重要なことは、可能な限り徐々に5Gに移行していく機会を探ることであり、すべて一度に対応してコストと能力を飛躍的に増加させる必要はありません。段階的に得られる潜在的向上に関し、アンケート回答者は、5Gのメリットをもたらす最初の要因となるのは、ミリ波(39%)、Sub6(32%)、低電力遠距離通信(29%)になると予想しています。

ネットワーク構築にいったん弾みが付けば、Sub6は、既存のインフラストラクチャやモデム、アンテナ、コンポーネントを使用しながら低遅延と高速伝送によってLTEに大きな向上をもたらすでしょう。これに対し、ミリ波がもたらす変化は大きなものになります。

ミリ波には高周波が関係するため、展開には、アンテナを含むすべての主要周波数コンポーネントを1つの集積回路上に搭載したモバイルデバイス向けのチップセットが必要になります。相互接続の面では、ミリ波コネクターの許容誤差を精密に調整する必要があります。さらに、ミリ波の短い伝播距離に対応するためにインフラストラクチャへのさらに大規模な投資も必要になるでしょう。もちろん、ここでミリ波の伝送距離を延ばすために小型基地局の役割も重要になってきます。

すべてを考え合わせると、ミリ波は有望ではあるものの、大きなチャレンジも残ると言えます。86%の回答者が、ミリ波には5Gの他の要素よりもポテンシャルがあるものの、リスクも高いと回答しているのはこのためです。

5Gにキラーアプリは必要か?

現時点では、膨大な量の情報をほぼエンドレスに提供し私たちの暮らしや仕事、遊びの形を変える5Gによって、データ消費量が増えることは極めて明白です。モレックスの調査の回答者3分の1が、消費者の領域においてはAR/VR、ゲームまたはスマートフォンアプリが先導する形になり、産業用およびIIoTのユースケースではロボット、ロジスティクス、工場に大きなメリットがあるだろうと答えています。

それほど遠くない未来のいつかには、たとえば5G対応のコネクテッドカー、遠隔手術、スマートグリッド等、多くの説得力あるユースケースが具体化してくることでしょう。今、このようなことを考えていると、SF小説でも書いているような気持ちになります。これらのイノベーションが現在、正確にはどの時点にあるのか誰もはっきりとは知りませんが、モレックスは、この業界が5Gのすべてのポテンシャルを探り世界がまだ見たことのないような形で実用化できるよう、自社の製品、サービス、および能力で5Gをサポートする独自のポジションにいます。

イノベーションの好循環

5Gの成長を加速させるには、インフラストラクチャ、チップセット、およびモバイルデバイスへの投資を拡大するイノベーションの好循環が必要です。5G接続デバイスが一定の規模を達成できたら、アプリケーション開発者にとっての機会は広がり、もっと強力なユースケースを作成することができるようになるでしょう。

これらの新しいアプリケーションおよびデバイスが勢いに乗れば、対応エリアの拡大およびデバイスの高速化も進み、インフラおよびデバイスに対するさらなる投資とイノベーションにも拍車がかかるでしょう。このイノベーションの好循環が勢いを生み、この循環の輪が広がってキャリアからネットワーク機器OEM、デバイスOEM、チップセットメーカー、コンポーネントメーカー、そしてアプリ開発者、さらにクラウドおよびエッジサービスプロバイダーを含むエコシステム全体に及ぶようになれば、大きな包括的な一つのグループができあがります。

モレックスでは、インフラ、デバイス、コンポーネントを始めとする5Gのすべての関連分野の顧客やパートナーへの協力に取り組んできており、それぞれ5Gの可能性の実現に向けて著しい進歩を達成しています。当社は既に上位携帯電話会社向けにコネクターを提供していますが、その中には業界最先端のモバイル機器向けチップセット用コネクター製品も含まれています。私たちは日々、最大規模のクラウドおよびネットワークサービスのプロバイダー各社と協力し、社内の知識を活用し、5G採用の障壁の緩和と5G技術の発展におけるイノベーションの促進に努めています。さらに、業界トップクラスのコネクテッドヘルスデバイスならびにコネクテッドカー向けアンテナその他ソリューションの生産能力増強も進めています。モレックスは以上の取り組みを、当社顧客とパートナーが5Gに向けた準備を整えるだけでなく、5Gで最前線に立つお手伝いをするという確固たる意思を持って進めています。

私たちにとって、今が、5Gがもたらす未来の様々な機会や可能性に備える絶好のタイミングなのです。

現時点で、エンドレスに思えるデータストリームを提供し、私たちの暮らしや仕事、遊びの形を変えていく5Gの力でデータ消費量が増えることは極めて明白です。モレックスが行ったアンケートへの回答者の約3分の1が、消費者の領域においてはAR/VR、ゲームやスマートホームアプリが先導する形になり、産業用およびIIoTのユースケースではロボット工学、ロジスティクス、工場に大きなメリットがあるだろうと答えています。

それほど遠くない未来に、たとえば5G対応のコネクテッドカー、遠隔手術、スマートグリッドなど、多くの魅力的なユースケースが具体化してくるでしょう。今、このようなことを考えていると、SF小説でも書いているような気持ちになります。地平線上に見えているこれらのイノベーションが正確にはどれほど遠くにあるのか誰もはっきりとは知りませんが、モレックスは、業界が5Gのすべてのポテンシャルを探り、世界がまだ見たことのない形で実用化できるよう、自社の製品、サービス、能力で5Gをサポートできる、他にない能力を有しています。

イノベーションの好循環

5Gの成長を加速させるには、インフラストラクチャ、チップセット、およびモバイルデバイスへの投資を拡大するイノベーションの好循環が必要です。5G接続デバイスが一定数に達した後は、アプリケーション開発者にとっての機会は広がり、さらに強力なユースケースを作成できるようになるでしょう。

これらの新しいアプリケーションおよびデバイスが勢いに乗れば、対応エリアの拡大とデバイスの高速化も進み、インフラストラクチャやデバイスに対するさらなる投資とイノベーションにも拍車がかかるでしょう。このイノベーションの好循環が勢いを生み、この循環の輪が広がってキャリアからネットワーク機器OEM、デバイスOEM、チップセットメーカー、コンポーネントメーカー、そしてアプリ開発者、さらにクラウドおよびエッジサービスプロバイダーを含むエコシステム全体に及ぶようになれば、大きな包括的な1つのグループが完成します。

モレックスでは、インフラストラクチャ、デバイス、コンポーネントをはじめとする5Gのすべての関連分野の顧客やパートナーとの連携に取り組んでおり、彼らは5Gの可能性の実現に向けて大きく進歩しつつあります。当社はすでに主な携帯電話向けのコネクターや業界最先端のモバイル機器用チップセットと接続する製品を供給しています。私たちは最大手のクラウドおよびネットワークサービスのプロバイダーと連携してきた知識を活かし、5G採用の障壁を緩和し、5G技術の発展におけるイノベーションを促進しています。さらに、業界を先導するコネクテッドヘルスデバイスならびにコネクテッドカー向けアンテナなどのソリューションの生産能力増強も進めています。モレックスは以上の取り組みを、当社顧客とパートナーが5Gに向けた準備を整えるだけでなく、その最前線に立つことを確実にするため、確固たる意思を持って進めています。-

私たちにとって、今が、5Gがもたらす未来のさまざまな機会や可能性に備える絶好のタイミングなのです。