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データセンター

未来のデータセンターを支える

新たなテクノロジーや高機能化へのニーズに合わせて、データセンターのエネルギー需要は拡大しています。モレックスがどのように未来のデータセンターを実現する製品と専門技術を開発しているかをご覧ください。

読了時間:5分

現在のビジネスインフラの中でもデータセンターは最も重要な部分を占めていますが、最もエネルギー集約型であるという点でもデータセンターは突出しています。標準的な商業オフィスビル1棟と比較すると、1つのデータセンターには床面積あたり最高で50倍のエネルギーが必要になります。全体として、データセンターは米国の総電力利用の約2%を占め、この数字はさらに増加すると見込まれています。

では、この需要の増大は何に起因しているのでしょうか? さらに、データセンター運用会社は長期的な成功に向けて、短期間のうちに何を準備できるでしょうか? この記事では以下について取り上げます。

  • データセンター市場内の最も大きな変化の牽引役
  • このような課題に対応してデータセンターの設計が変化している状況

需要が生む課題

新興テクノロジーが進化し、ビジネスや一般に受け入れられるようになる中で、処理能力向上に対するニーズも高まり、それによってエネルギー需要も拡大しています。実際、モレックスの調査では、電源設計のイノベーションを促すカギとなるトレンドは機能性の高度化に対するニーズであると、データセンター設計エンジニアの58%が考えていることが明らかになりました。

高速帯域

高速インターネットの発展によって、コミュニケーションの仕方や働き方、生活の仕方が大きく変わってきました。インターネットの黎明期のダイアルアップ接続は低速で途切れがちであり、オンラインでできることには限界がありました。ブロードバンドインターネットが1990年代後半に登場し、高速接続が可能になったことで、バッファや遅延なしにウェブの閲覧、ファイルのダウンロード、ビデオチャットなどができるようになりました。テクノロジーの改善に伴い、接続スピードは飛躍的に高まり、高品質画像のストリーミング、ARやVRの体験、クラウド上での複雑なアプリケーションの実行などが可能になりました。現在、高速インターネットサービスは多くの人々にとって不可欠なものになり、5Gや光ファイバーなどの進化によってスピードと 信頼性の向上が約束されるなど、引き続き進化を続けています。

モノのインターネット(IoT)

IoTは、インターネット経由でデータの送受信ができる日常的なデバイスや機器、システムの相互接続ネットワークを包含するものです。気温、照明、電化製品など、環境に関するあらゆる側面をコントロールできるようになります。IoTでは、スマートフォンや車、サーモスタットや時にはホームセキュリティシステムまで、あらゆるものがつながります。IoTを使ってプロセスを自動化することができ、生活の利便性が向上します。たとえば、スマートホームデバイスではエネルギー利用のコントロール、モニタリング、最適化や、日用品の購入が必要な場合のリマインダーなどが可能です。IoT市場は急速に成長しており、テクノロジーの進化によって能力や可能性がさらに高まるため、2030年までに6,210億ドルに達すると試算されています。

機械学習と人工知能

ミシガン大学電気エンジニアリング・コンピューターサイエンスのMosharaf Chowdhury准教授によると、GPT-3モデル(予測テキストを生成する機械学習モデル)を一度トレーニングするだけで1,287メガワット時もの電力が消費される可能性があります。今日のAIのさまざまな使われ方や今後の使われ方に目を向けると、ChatGPTなどのAIチャットボットが一般的な検索エンジンに取って代わり、それを受けてユーザーのクエリ処理をサポートするのに必要なコンピューティング電力量が飛躍的に高まるのは想像に難くないでしょう。このような未来に備えて、データセンターは電力消費を減らしつつ処理能力と信頼性を高めていくことが不可欠になります。

データセンターの進化

常に成長し続けるデジタル環境においてユーザーのニーズに応えるために、現在のデータセンターはいくつかの異なるやり方を取り入れています。

ハードウェアの強化

未来の課題に対応できるデータセンターの構築は部品の最小化から始まります。ハードウェアのあらゆる部分を信頼性と効率性のために最適化する必要があります。干渉の最小化やスペースの最大化を実現するために、シールドコネクターやバスバー、ケーブルを構成することが可能です。最新世代のマイクロプロセッサーは高性能と高エネルギー効率を兼ね備えています。モジュール性の進化によって今では容易にサーバーを再設定したり、今後の成長に備えてアップグレードしたりすることができます。さらに、生成AIの需要に対しては224 Gbps-PAM4システムアーキテクチャが必要です。 

電源の標準化

データセンターはアップタイムにしか機能しません。よって、必要な場所と時間でサーバーがオンラインになっていることが絶対に欠かせません。常に途絶なくエネルギーが供給されるようにするためには、冗長バックアップシステムが必要です。現在のデータセンターは発電機や容量バンクを利用して一貫した電力供給を保っています。太陽光パネルや風力タービンを設置するなど、サイト内で生み出した再生可能エネルギーへの移行も進んでいます。さらに小さなスケールでは、エッジ、ファーエッジ、マイクロデータセンターは、リチウムイオン電池のバックアップを各シェルフに配置するところまで踏み込んだ対応を取っています。

温度管理

処理量の増大は発熱量の増大を意味します。よって、大きく成長していくデータセンターシステムを管理するには、温度管理についても革新的な独自のアプローチが必要になります。特に液浸冷却はデータセンターの電力環境において最近大きな注目を集めている技術です。2020年にMicrosoftのProject Natickでは、海底の防水コンテナで2年間にわたってサーバー864台、27.6ペタバイトのストレージを安全かつ確実に保管し、海水の冷却効果がエネルギー効率の向上に効果的であることが実証されました。現在、システム設計者はさらに一歩踏み込んで、非導電性の液体に直接サーバーを沈めています。これによってパッシブなヒートシンク設定が作り出されることになり、未来のデータセンターに必要なコストとエネルギーの要件を大規模に支えられる可能性があります。 

さらに、全世界のデータセンターの運営会社は機器の潜在的な熱を実際的な利用に生かす機会を捉えようとしています。Amazon、Apple、Facebook、その他のテクノロジー大企業では、熱リサイクルプログラムを策定し、データセンターで生まれた熱エネルギーを利用して住宅、場合によっては都市の区画全体の暖房を供給しています。こうしたプログラムの策定にはコストがかかりますが、特に大規模データインフラに最適な寒冷な気候において実社会に生かすことができます。 

データの未来は効率性

新たなテクノロジーにより、データセンターの設計者には常に効率性の向上が求められ、エネルギー利用に関して運営会社が担う受託責任が増しています。選択できるアプローチは複数ありますが、信頼性に向けて努力しつつ効率性を最大化するためには注意深く実行していくことが大切です。現在のテクノロジー主導の時代において、電力とデータ処理能力の双方の「パワー」の需要は引き続きますます増加していくでしょう。その結果、デジタルの未来においてセンターの設計や維持にあたる担当者は、変化し続ける需要に迅速に対応できる効率的なネットワークを賢く作り上げるとともに、それぞれのインフラの総合的な電力フットプリントをしっかりと統制していく必要もあります。このような理由から、先ほど取り上げたモレックスの調査では、電力に対する深い認識が設計エンジニアに不可欠な要件であると考える回答者が94%に上りました。

モレックス:Creating Connections for Life

データセンター環境で最もよく知られた数社の大企業の信頼できるアドバイザーとして、モレックスは今日の業界全般が経験する変化を受け入れて順応しており、企業が将来、最大限の価値を確実に達成できるよう支援しています。モレックスは幅広い接続ソリューションのポートフォリオを擁しており、銅や光学の最新の進化を生かして最適な効率、スピード、密度を実現するために、高いシグナルインテグリティと低レイテンシーを提供し、挿入ロスを削減しています。