産業とアプリケーション
ツインアックスソリューションズ:設計上の考慮事項
ニューノーマルとしての56および112GbpsのPAM-4信号伝送方式へのシフトは加速を続けています。シグナルインテグリティを犠牲にすることなく、狭いスペースでデータ速度を上げることを求める強いプレッシャーの下で、データ・センターと電気通信インフラストラクチャ業界は、効率、信頼性、電力消費、熱性能、速度を最大化するコスト効率の高いソリューションの必要性の増大に直面しています。
PAM-4変調は、同じ周波数で、NRZ(非ゼロ復帰)環境と比較して2倍のデータレートで伝送が可能ですが、PAM-4の実装はより困難です。プリント基板素材のメガトロン6や8は挿入損失やチャネルノイズを低減させますが、コストが高く、リタイマーを使わないと適切なチャネルマージンを提供しません。
この結果、損失の多いプリント基板素材を迂回できる、低伝送損失の高速ツインアックスソリューションへの関心が高まっています。これらの「ボックス内接続」ソリューションにより、スイッチやルーターやサーバーのASICとフロントパネルI/O間の挿入損失を大幅に低減し、大きなチャネルマージンを提供します。
ツインアックスのメリット
ツインアックスの優れたシグナルインテグリティ性能とチャネル内でリタイマーを排除できることから、ASICがより少ない電力でより多くを処理可能になります。ツインアックスソリューションは、ASICをどこにでも配置できる機会を提供することにより、その設計の柔軟性を高め、基板層の数を減らし、より小さなプリント基板を使用します。さらに、ソリューションの優れたシグナルインテグリティと、低挿入損失機能により、設計者は、性能を犠牲にすることなく、スイッチやルーター内とラック内のすべてにおいてコストの低いパッシブ銅ソリューションを使用できます。
設計上の課題を克服
ツインアックスを有効にしたバイパスソリューションを使用することにより、エンジニアが各チャネルの最適化に数か月を要する必要がないため、市場投入までの時間を短縮できます。しかし、標準のプリント基板の代わりにツインアックスソリューションを使用する設計は、現在の手法を使用する場合とは大きく異なります。
多くのトップオブラック(TOR)スイッチの設計者は、すでにブロードコムのトマホーク4 ASICを、ベストな形でサポートする方法を探しています。まず、1,024の56G PAM-4の差動ペアをサポートするということは、設計者はQSFP-DDの64のポートをTORスイッチに押し込む方法をひねり出す必要があり、これには、1RUのシャーシから2RUシステムへの移行も必要になります。最適な構成/設計を判断するということは、費用、チャネルの長さとマージン、および熱要件を考察することを意味します。
多用途性と性能
性能、コスト、商品化の方法を最適化するため、設計者は複数の構成の長所と短所を比較考量しなくてはなりません。考察事項には以下が含まれます。
- 配線ルートの長さを最小化するベストな方法は?
- 必要な基板層の最小数は?
- チャネル内のリタイマーの必要性
- ASICを冷却できるか?
- 対応しなければならないモジュールのワット数
- ベストな放熱方法は? 前面から背面へ、側面または背面から前面への空気の流れは?
- ソリューション全体を実装する容易性は?
2×1のスタック式DDQプレスフィットまたはSMTコネクターを使用する従来の方法を考えてみてください。64の400Gbpsポートに対応するには、ベリーツーベリー構成が必要となり、リタイマーと、追加基板レイヤの必要性を含め大幅な配線エンジニアリングが必要になります。あるいは、1×2の縦方向でバイパスソリューションを使用することで、高価なPCB基板よりも優れたSI性能を提供し、リタイマーを排除し、20/25ワットモジュールの冷却を向上させます。熱冷却については後の投稿で解説します。
複数の機会を作る複数のツール
モレックスのバイパスソリューションの柔軟性は設計者に、充実したツールボックスからコンポーネントを選んで組み合わせ、コスト効率よく次世代のデータ速度を適切に提供し、強化された熱性能と優れたシグナルインテグリティとチャネルマージンを備えた製品を作り上げる自由を提供します。