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サプライチェーン

グローバルセールス事業計画・執行において需要プランニングが重要な理由

顧客からの直接のインプットが需要プランニングプロセスには欠かせません

執筆者: Bill Oakley
グローバルセールス&事業計画、バイスプレジデント

読了時間:5分

顧客が叫んでいても、その声に耳を傾けるための適切なプラットフォームがなければ、何の音も聞こえません。企業が最初に耳にする雑音が顧客の苦情であるというのは悲しい現実です。顧客のニーズにどのように耳を傾けるべきか誰も把握していないためです。

最近のマッキンゼー&カンパニーの調査では、幅広い業界を代表する世界中のサプライチェーンのリーダー113人のうち71%が在庫ポリシーを改定する予定であると回答しました。また、需要のサインを捉えることが優先事項であると回答した人は74%にも上りました。このような考え方があるからこそ、モレックスはグローバルセールス事業計画・執行(GSOP&E)に非常に大きな焦点を当てているのです。顧客の声やそれぞれの要求がGSOP&Eにとって重要な起点となります。顧客の声を顧客の期待に応えられるような具体的なアクションに落とし込むという点で、顧客の声こそが当社の製品、サービス、サプライチェーンを動かすものなのです。  

「需要プランニングとは顧客の声に合わせていくためのプロセスのフェーズです」
Bill Oakley
グローバルセールス事業計画、バイスプレジデント
モレックス

需要プランニングとは顧客の声に合わせていくためのプロセスのフェーズです。この段階で中心となるアウトプットの1つが総意予測です。総意予測ではセールスチームに寄せられている顧客の声や、市場の観点から製品マネージャーが耳にしている事柄といったインプットを組み合わせます。こうしたチームの意見を一致させて最良のサインを得ることで、原材料や機械、労働力といった分野における重要なプランニングを決定していくのが目標です。サプライチェーンから今得られるものではなく、顧客の実際のニーズにあわせて、サプライチェーンの調整を図っていくために、総意予測はモレックスの役に立っています。結果的に顧客の発注を処理するリードタイムが短縮し、より高いレベルで顧客にサービスを提供できるようになります。

モレックスの製品カタログには10万点を超える部品数(SKU)が存在しています。予測モデルと組み合わせて過去の発注履歴を分析し、予測の一部を自動化し、顧客にとって重要な変更にチームとして注力できるようになっています。しかし、予測のためにこうした履歴モデリングに頼るのはごく一部です。市場の変化や顧客の意図も非常に大きな役割を果たすためです。顧客からのインプットがこのプロセスにおいて不可欠です。大規模な顧客についても小さな顧客についても、当社から購入予定のものや、顧客の顧客に販売予定のものなど、顧客からの直接のインプットを生かして今後1~24カ月(約2年)のあらゆる時点について予測を立てます。 

確実に効果を出すために、需要プランニングと総意予測は繰り返して実施され、順応させ続けていくべきものです。こうしたインプットを週次や月次で処理し、総意予測を調整するとともに、下流の供給プランニングもその予測に合わせます。このようにして市場スピードに継続的なプロセス改善を合わせていくのです。 

実際の需要プランニング

GSOPE

需要プランニングの例と総意予測の策定が実際にどのように機能するのか見ていきましょう。ある顧客は新しいスマートフォンを市場投入する計画です。クリスマスのラッシュに間に合うように11月に出荷する予定です。出荷数と納品のタイムラインに合わせて8月にラインが稼働しましたが、需要の大きな材料が複数あり、これが部品表にとってのリスクです。顧客は新製品のタイミングや要件などの製品発売計画の詳細を共有しています。需要の高い材料がいつ必要になるか、また、どの程度の量が必要なのかを把握することで、モレックスは需要や納期に備えて内在するリスクを軽減することができます。発注をただ待つだけではなく、新しいデザインの増産についても既存モデルの減産についても計画を策定することができます。 
 
そうすることで、モレックスは新たな製造プロセスを支えるのに必要な量について把握することができます。このような重要な知見を得ることで、必要なキャパシティを準備して顧客からの発注が来た際に約束したリードタイム内に納品することができるのです。

モレックスの需要プランニングプロセスには、主要アカウントの見直しも含まれます。これは、顧客の事業において何が大きく変わっているのかを把握しようとする取り組みです。定期的に製品と市場を見直し、顧客の今後の意図に合わせて当社としてどのような製品戦略の変更が必要になるかを理解するのです。顧客からのインプットがあってこそ、当社として統計的な予測だけではなく最終的には総意計画についても精緻化していくことができます。  

モレックスでは、需要プランニングを通してはるかに強固な製品管理、販売、需要プランニングチーム間の整合性が生まれます。よって、顧客の事業ニーズを支えるためにできるだけ正確な総意予測を作り出すことができるのです。以前はばらばらであったインプットを、アクションの取れる明確なサインにまとめることで、当社から全力で注意を払われるべき存在である顧客の声に応えることができるようになります。供給の途絶が絶え間なく起きる時代において、顧客が継続的にそれぞれの事業を維持していくために、当社はこのようなサポートを行っています。ただし、顧客の今後の新製品創出や製品強化の計画に沿って、当社としても顧客の戦略計画についていける備えや機敏さを維持し、顧客の競争力維持を助けていくことも同様に重要になります。 

 

 

 

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