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次世代データ・センターの未来が今ここに

ミュラ・ドガンソイサル
モレックス・データコムおよびスペシャルティソリューションズ営業担当バイスプレジデント

デジタル第一の世界では柔軟性が勝敗を分けます。デジタル化が進むことで、数十年間にわたって築かれたデータ・センターの姿が変わりつつあります。最新の業界分析レポートやニュースサイクルによっては、データ・センターの将来はハイパースケール化と主張する専門家もいますが、処理能力はローカル、クラウド、ネットワークエッジで提供されると確信している専門家もいます。テクノロジー、トポロジー、用語は多種多様でも、誰もが同意することが1つあります。それは、次世代のデータ・センターは機敏で、適応力があり、分散されて、効率が良く、インテリジェントでなければならないということです。

ガートナー社によると、グローバルなデータ・センターのインフラに費やされる資金は、来年末までに2000億ドルを超えると予想されています。これは、多くの企業が、パンデミック関連の事業の移行や混乱に対処するために公共クラウドプロバイダに頼りインフラへの投資を中断したため、2020年は投資にムラがあったが、来年末までには6%上昇するという見通しです。

コロナ以前に安定して成長を続けていたクラウドの導入は、パンデミックで大きな勢いを得ました。フレクセラの「2021年: State of the Cloud Report」によると、調査対象となった750社の92%以上が、現在マルチクラウド戦略を掲げており、90%がパンデミックによってリモートワークが増えビデオ会議が急増したために、クラウドの使用が計画を超えると見ています。このレポートでは、パブリックおよびプライベートクラウド採用の進み具合にも触れられ、43%の回答者がビジネスニーズを満たすためにハイブリッド戦略を採用しています。

企業が一枚岩のデータ・センター設計から、分散され細分化されたアーキテクチャに移行する中、新たな課題も数限りなく生まれています。形態や規模を問わずあらゆる企業が、新しい異質の環境へスムーズに移行する方法を模索しているのです。究極の目標:コンピュート、ストレージ、ネットワーキングの様々な選択肢からビジネスニーズに最適なものを選び、使った分だけを支払いたい。

顧客との会話のなかで繰り返し言われることです。その中心には3つのテーマがあります。

  • まずコストです。電力がデータ・センターの最大のコストとなっている状況で、エネルギー効率とともにコストが一番の懸念事項となっています。オンプレミスからハイブリッドのクラウド環境に移行することは、コストとカーボンフットプリントの両方を低減する優れた方法です。
  • 次にパフォーマンスです。あらゆることが速度とフィードの問題に行き着きます。人工知能/機械学習(AI/ML)、動画のストリーミング、自然言語処理などのデータ集約型アプリケーションは、コンピューティング処理の負荷を軽減するために、従来とは異なるアーキテクチャと最適化されたソフトウェア/ハードウェアを必要とします。
  • そしてあらゆるものの接続。物理的なデータ・センターとバーチャルのデータ・センター両方の橋渡しをします。シームレスな統合とオンデマンドの接続によって、データ・センターのエコシステム全体で素早くデータを交換できるようにすることが不可欠です。

アプリケーションのルール

デジタルインフラストラクチャへの移行の結果として、前例のないレベルの機能を誇る強力なアプリケーションによって生成されるデータが、継続的に猛烈な勢いで押し寄せることは明白です。Bittware社(エッジアプリケーションおよびクラウドコンピューティングアプリケーション向け企業用アクセラレーターに特化したモレックス傘下の企業)の営業・マーケティング担当バイスプレジデントのクレイグ・ペトリーにとっても、このことは真実のように思われます。

「顧客は、かつてないほど数多くの多様なアプリケーションを拡大する必要があります」と述べています。「10年前にはアプリケーションは、データベースなどの10個程度が普通でした。コンピューティングにかかる時間がユーザー体験に大きく影響しなかった時代です。今では企業は、様々なユーザー体験を求める、数百というリアルタイムの決定性低遅延アプリケーションを扱っています。エネルギー効率を高めて、データ移動を抑え、コストを削減しつつ、切望される性能改善を達成するには、アクセラレーションテクノロジーが答えになります。」

あらゆることの中心にユーザー体験がある現在、データ・センターのプロバイダは、アプリケーションが複雑な機会学習のワークフローを抱えていようが、携帯電話に4K動画ストリーミングを行なっていようが、一貫したパフォーマンスを提供しなければなりません。あらゆるデータは失敗なくオンデマンドで提供されて当然とする期待が、低くなることはありません。その課題に一貫して応えていくことが、継続的な注力とイノベーションの核心となります。

Research and Marketsは、生成されるデータの量は世界で毎年35%増加し、最も早いペースで成長するのはヘルスケア業界と予測しています。アメリカ疾病予防管理センターによると、2020年の第一四半期にテレヘルス(遠隔医療)の受診は50%増加し、3月の1週間は2019年の同週と比較して154%に急増したとのことです。テレヘルスアプリケーションの急増は、サービスレベルの一貫性を確保するためのITエコシステム全体におけるコラボレーションの好例です。

スピードと機敏さに対するニーズ

これまでは、常に速度とフィードで性能を測ってきましたが、次世代データ・センターの事業者は、新しい要件にいかに迅速に効率良く適応できるかを実証しなければなりません。モジュラー、再構成可能なインフラストラクチャは、物理的場所からコンピュート、ストレージ、ネットワークリソースのレイヤーを抽象化できる設計になっており、このためオンデマンドで構成やプロビジョニングを行うことができます。これは、膨大な量の接続デバイスがデータを取り込み、処理、保存、共有することを考えると特に重要です。

市場リサーチ会社のStatistaは、モノのインターネット(IoT)デバイス、包括的コネクテッド車両、スマートホームデバイス、産業用機器のインストールベースの合計は、2025年までに309億ユニットに達すると推定しています。本年度予測の138億ユニットから飛躍的な増加です。このデータのほとんどが分散され、その大部分がネットワークのエッジで処理され、そこでトランシーバーやアクセラレーターなどのスマートテクノロジーによって柔軟にパフォーマンスブーストが行われます。

「このアクセラレーションに向かう傾向には、リソースをさらに効率良く活用するチャンスとなる側面もあります」とペトリーは述べています。「巨大なハイパースケールデータ・センターからの大量のデータに扱う場合は、物事はさらに複雑になり、急速に費用か高価になる可能性があります。データ・センター運営のあらゆる部分で、全体的なリソースの活用を改善することを目標とすべきです。」

同じく重要なのは、スマートデータ・センターセルとソフトウェアによる診断の増加により可能となった弾力性と安全性のレベルを徹底して高めることです。データ・センターのダウンタイムによるコストは破滅的になる可能性があるため、運営者は常に稼働時間を最重要事項とするべきです。7月22日、Akamaiがエッジのドメインネームシステム(DNS)の障害に遭遇した時、Airbnb、アマゾン、フィデリティインベストメント、UPSをはじめとする世界中のウェブサイトがその影響を受けました。

ダウンタイムの影響は分単位・百万ドル単位となるので、その修復を急務として1時間未満で通常運営に戻すことができたのは不幸中の幸いでした。特に今では、問題が発生した時にはスマートハードウェアが自己診断を行いながら、データトラフィックをバックアップポートに方向転換してサービスのロスを低減することができるため、弾力性の重視は続いていくものと予測されます。

必要不可欠な接続

増大する一方のデータに対応するため、データ・センター事業者は膨れ上がる帯域幅と相互接続の要件を満たすことに力を注いでいます。10年前には、接続はネットワークの構築や拡大時に最後に対処する項目の一つでした。しかし現在では、初期段階から高密度の相互接続ソリューションの設計が次世代データ・センターに反映されつつあります。

同様に、異機種コンピュート、ストレージ、ネットワーキング環境全体でのオープンなコミュニケーションをサポートするには、進化する標準的取り組みに従い、受け入れていくことが重要です。オープンコンピュートプロジェクト(OCP)の積極的参加者として、プロジェクトオープン19コンプライアンスに特化した充実した製品ラインを展開する企業として、モレックスは、企業がデータ・センター内の多様なコンピュート、サーバー、ストレージ、ネットワークアクセラレーターおよびコネクターを運用できるようにする接続製品の開発にコミットしています。

データ・センターの相互接続製品のポートフォリオをフルに揃えていることで、モレックスは、未来のデータ・センターを支えるというモレックスのコミットメントを実証しています。また、データ・センターのエコシステム全体のリーダーたちと継続的に提携し、高速伝送用相互接続ソリューションのフルメニューを実現することでも、そのコミットメントに取り組んでいます。最近のイノベーションとしては、「バイパスコネクター」をチップ基板パッケージに直接配置する「ASIC近傍設置向け」ソリューション、新規112Gアクティブエレクトリック銅線ケーブル、イントラデータ・センターの相互接続とデータ・センターの相互接続の需要の両方を高める100G/400G光トランシーバーなどがあります。

BittWareでは、大半のデータ集約形のワークロードをサポートする、Intel Agilex FPGAベースのアクセラレーターのIAシリーズの拡張を進めています。データ・センター環境で最もよく知られている大企業数社の信頼できるアドバイザーとしてモレックスは、今日の業界状況において最もインパクトの大きい変化を受け入れ、企業が将来、最大限の価値を確実に達成できるようにします。