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素晴らしいレース:モレックスの結集により、画期的な5Gコネクターの納入を加速化

スティーブン・ドリナン著
マイクロソリューションズ社、コア プロダクト ディレクター

モバイルデバイス向けの高速コネクターを構築するのはチームの仕事です。専任のスペシャリストが最善を尽くして、良好な市場投入戦略をサポートすることに全労力を注ぎ込まなければなりません。モレックスのRFミリ波5G25コネクターシリーズの本日の発売は、数ヶ月で最高品質のサンプルを供給することへの私たちの気概、情熱、プライドを象徴するものであり、モレックスにとって、そして成長を続ける5Gモバイルデバイス市場にとっての大きなマイルストーンです。スタートからゴールまでの道のりは、素晴らしいレースでした。

マーケットウォッチャーであるIDCによると、スマートフォンの世界市場は2015年から最速の成長を実現する準備ができています。その大部分が5G対応デバイスの普及によるものです。モバイルデバイス業界がパンデミック関連の低迷から回復する中で、アナリストは、ほとんどの地域で5Gの出荷が3桁の成長を実現し、年末までには13億8000万台のスマートフォンが出荷されることになると見ています。

この競争の激しい市場で生き残るために、チップメーカーやモバイルデバイスメーカーは、より小型でスマートな機器を製造するためのコンポーネントとコネクションの獲得を競っています。洗練されたデータ・センターに見られるようなコネクティビティを、米粒ほどの大きさのプリント基板上に配置するのはエキサイティングなタスクであり、この重要性を深刻に受け止めています。長年にわたってこの大量生産市場を牽引するサプライヤーである当社は、次世代モバイルデバイスをサポートするために必要な、重要な電気的・機械的・環境的機能性のバランスを取りながら、まさにそのタスクを達成しました。

スピードへのニーズ

すべては、マイクロソリューションズ事業部(MSBU)の主席メカニカルエンジニアであるリリー・チャンへの1本の電話から始まりました。RFアンテナモジュールに取り組む世界的なチップメーカーに対して、5Gコネクターを開発する差し迫った機会があったのです。問題は、コネクターが、最大25GHzの厳しいシグナルインテグリティ仕様を満たす能力を備えていなければならないことでした。当社の日本の設計リードチームは、初期設計コンセプトを約2週間で開発・検証しなければならず、そのスケジュールを守るためには、世界的に不眠不休で取り組まなくてはならないということが、即座に分かりました。

これは大きな要求でした。そのような短い期日を守ることは、ほぼ不可能だとリリーは言いました。そして彼女は即刻行動に移し、日本の設計チームが顧客のコミットメントを満たすことができるよう、モレックスのさまざまな事業部から、米国を拠点とする優秀なエンジニアたちを集めてチームを結成しました。モレックスに勤続して26年のリリーは多数の部署と連携してきた経験があったため、誰に関与してもらうべきかをはっきりと理解していました。「私の仕事は、反復を最低限に抑えリスクを軽減するために、適切な人材が正しい分野で取り組めるよう徹底することです。」と、リリーは述べています。「価値を付加するために、私が築いてきた人脈をすべて自由に活用できる、この組織に所属していることは非常にラッキーです。」

リリーが最初に電話したのはブライアン・オマリーでした。モレックス勤続22年の、シグナルインテグリティとRFのベテラン主席エンジニアです。過去20年にわたってブライアンとリリーは、世界中の顧客に代わって部署を超えたインサイトを交換してきました。「リリーはRFチームに不可欠な人物です。」と、オマリーは述べています。「特定のサプライヤーやテクノロジーに関する彼女の知識は、いくつかのアンテナ開発に大きな役割を果たしてきました。実際、彼女はあるプロジェクトで、開発期間を6ヶ月から12ヶ月短縮するためのアドバイスをくれたことがあります。」

私は、RF製品のグローバルエンジニアリングディレクター、ビル・スピンクにも相談しました。モレックスのマネジメントトランスフォーメーションプログラム(MTP)でビルに出会ったのは幸いでした。このプログラムは、企業リーダーを目指す人々を集めて、2年間の管理者能力開発カリキュラムに参加させるという取り組みでした。ビルはシカゴ勤務で私は東京勤務ですが、私たちは定期的にアイデアを交換しています。ビルが参加を快諾してくれるまでには1分もかかりませんでした。そして、ブライアンがこの取り組みに参加してくれるようにしてくれました。「モレックスは、あらゆる事業部や部署で多様な人材を持っており、私たちは人材を集めて協力して取り組むことができます。それは、大企業ならではのことです。」と、スピンクは続けて語っています。「当社は、各部署が孤立した組織ではありません。グループを隔てる障壁がないのです。」

インディアナ州のモレックス研究所から、ブライアンはHFSS有限性要素分析ソフトウェアを使って高度なシミュレーションを行いました。イリノイ州のチームメンバーは、拡大した日本のチームに参加しました。全員が定期的な顧客コールに参加し、精緻な設計の全側面を探りました。モレックスのデータコム&特殊ソリューション部のコッパーソリューション事業部(CSBU)に所属する、シグナルインテグリティや高速通信の専門家も参加しました。

モレックス勤続22年で、現在CSBUのエンジニアリング担当VPを務めるピロス・アムレシーは、柔軟性と幅広い部署からのチームが集まりやすかったことが素晴らしかったと述べています。「より速く、密度が高く、小型化した回路を作る方法を私たちは知っています。」と、彼は語ります。「シームレスなプロジェクト管理が、このプロジェクトを成功させるカギでした。日本のメカニカルエンジニアリングチームと試作品製造チームは、非常に素早く状況を好転させました。極めて効率的でした。その仕事ぶりは素晴らしかったし、私たちがシグナルインテグリティの改善に集中しやすくしてくれました。」

私たちは、イリノイ州ライルの本社にある5G試験室と、日本の部署本社の別の研究室で厳しい性能試験を行い、かなりの時間を節約しました。最大25GHzの速度で性能を評価する能力を備えた試験機器が、顧客の拠点にすらなかったので、私たちは高周波試験を社内でできるように試験室を改良しました。

コラボレーション文化

モレックスの協力文化と初期段階からの顧客の関与によって、サンプル製造のゴーサインを確保するのに十分なデータに裏付けられた、高度に差別化した設計コンセプトを開発することができました。再び厳しい納期に間に合わせなければならず、その後5か月を費やして、信号損失、干渉、クロストークなど、高速で蔓延する問題を軽減しながら継続的に設計を改善しました。

スマートフォンでは内部のスペースが非常に貴重なため、小型化でも固有の課題が発生しました。私たちは電気的・機械的性能の最適化を進めながら、様々な意見を交換しました。製造エンジニアは、成形・プレス加工・メッキ加工が大量生産を受け入れられる状態であることを確認しました。

20名以上のモレックスの「ドリームチーム」がこのプロジェクトの成功に貢献し、数か月以内に最高品質の製造サンプルを完成させました。これは、この規模のプロジェクトに通常1年以上かかるのとはまったく対照的です。さらに、当社の「全員参加」のトータルソリューションアプローチに関する評判が広まるにつれ、さらに詳しく知りたいという他の顧客からの声もいただきました。

長年当社をご利用いただいている大手モバイルデバイスメーカーからは、この種類のペースの速いプロジェクトに対応できるエンジニアリングチームをどうやって構築するのか、アドバイスを求められました。瞬く間に私たちの関係は信頼できるアドバイザーの役割に発展し、製品の技術的な議論を超えて、影響力の高いチームを構築するための、ビジネスをさらに重視したインサイトに移行しました。私たちは、ステークホルダー全員が最初から関与しなければならないと説明しました。機械・電気・製造のエンジニアたちは、お互いに個人の決断がいかに影響するかを完全に理解しなければならないからです。

当社の顧客は、私たちがこの経験に基づいてもたらす他社にはない利点も理解しており、彼らの性能ニーズを満たす別のミリ波RF基板対基板用コネクターを開発できるようサポートを求めています。私たちはまた厳しい期限に直面し、開発期間を数ヶ月削減して、顧客の全体的なプロジェクトをスケジュール通りに進めました。私たちは今、重要な製品発売をサポートするため、この製品を大量生産する準備を進めています。

このプロジェクトを完了するには、エンジニアリングの才能と確固たる決意が必要でした。全員が、ゴールに達したことを非常に誇りに思いました。私が一人ひとりのメンバーの貢献を信頼したように、チームキャプテンとして私を信頼してくれたことに感謝しています。その過程のさまざまな段階で、私たちは皆、個人およびグループの意思決定を可能にする、コークインダストリーズの市場ベースの管理(MBM®)の原則を思い出しました。これらの原則は、コラボレーションを成功させるためのロードマップを提供し、お客様とその顧客、そして社会全体に長期的な価値を生み出すための誠実さ、謙虚さ、管理責任、自己実現、敬意の重要性を強調しています。

私たちは、この業界をリードするコネクターを市場に投入することから多くを学びました。実際、全MSBUプロジェクトのアプローチが、5G評議会を形成することから始めることに変わりました。現在、米国、日本、中国の電気・機械・製造のエンジニアたちを招いて、様々なテーマやプロジェクトについて定期的に会合を持っています。これはモレックスの新しいキャッチフレーズであるCreating Connections for Lifeを真に体現したものであり、世界中の従業員、顧客、パートナーに勝利をもたらす戦略でもあります。