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テスト

スマートフォンで常時リアルタイムの情報に接することが当たり前となった近年ですが、自動車販売店を訪れる多くの顧客は、自動車内で同じような体験ができることを望んでいます。自動車メーカー各社は、安全性や快適性、エンターテインメント等の各種機能を搭載し、天気や道路状況、直近のガソリンスタンドや給電ステーションといった情報を十分に提供するディスプレイやカメラ、センサーを複数台搭載した自動車を提供することで、最近の消費者のニーズに応えようとしています。

ソフトウェアが自動車内で主役を担ようになり、データ通信の本数が急速に増加するにつれ、エンジニアは古いシステムの再考を迫られています。エンジンやブレーキから座席やカーラジオに至るまで、自動車に搭載されている装備等で独立して機能するものは、もはや一つもありません。今や設計者は、上位テクノロジー系企業との協力することで、相互接続されたスムーズな車内体験を実現しようとしています。

安全性データの拡大

現在の自動車は人を運ぶだけではなく、膨大な量のデータも運んでいます。コネクテッドカーには、しばしば最大1億行ものソフトウェアコードが内蔵されています。これは2010年の10倍以上に相当する量です。

最も重要な接続のいくつかは、先進運転支援 (ADAS) システムなどの安全機能にリンクしていることです。車載カメラは、人間の目の能力を超える360度の視野を提供できます。LiDARや赤外線システムは、夜間や濃霧、霞のかかった状態でも運転者の死角にある動体を検知します。

また、適応型クルーズコントロールはレーダーまたはレーザー式センサーを使用して周囲車両との車間距離を測り、微妙な加減速を行って自動車の速度を調整し、走行中の安全な車間距離を維持します。衝突警告機能は先行車との距離、角度、相対速度を測定し、衝突間近になるとドライバーに警告します。そして衝突間近と判断すると自動緊急ブレーキが作動し、事故を回避します。

多くの商用車にはカメラとセンサーが搭載され、停止線に気づかなかったり急な加減速をしたりといったドライバーの癖を観察します。ドライバーの視線や居眠りまで検知して警報音を発するものもあります。またこれは商用車と一般の乗用車の両方に提供されているサービスですが、車両取り付けデバイスやスマートフォンアプリを使用して安全運転基準を満たすと、保険料を割り引くサービスなどもあります。

将来、ADASシステムはもっと予防的となり、5Gワイヤレスネットワークに接続することで車と車や車とインフラ間 (vehicle-to-everything, V2X) の直接通信が可能になり、さらに多くの自律機能を提供するようになるでしょう。

まだそこまでには至っていませんが。安全システムには、車両上の各種コンポーネントへの入力情報を瞬時に収集、処理、伝達できる信頼性の高い高速伝送用データ伝送と多極コネクターが必要です。例えばV2X通信は、必要な速度で必要なシグナルを伝送するために、新しいアンテナ技術が必要となるかもしれません。

情報とコントロールをカスタマイズする

現在、自動車を購入する人々は高度な安全機能だけではなく、瞬時に情報を得て制御できることを求めており、ボタンや計器ではなく、薄くなめらかでカスタマイズ可能なタッチパネルで操作できることを望んでいます。このようなニーズを受けて出てきたのが、運転者が表示したい情報を好きな位置に表示できる、デジタルダッシュボードです。例えば、スピードメーターの代わりにタコメーターや地図を表示する、あらゆる情報を一度に表示する、あるいは各種表示を随時切り替えて表示するといった使い方ができます。シートの調整、音楽の再生、ルームランプの色を変化させるといったこともできます。

フロントガラスの高さの位置に情報を表示するヘッドアップディスプレイには、EV車であればバッテリー残量等のドライバー向けメッセージを表示できます。そしてナビゲーションシステムが最寄りの充電ステーションへの案内を開始します。その途中で地形を見てルートを計算し直し、バッテリー消費の多い急勾配を避けることもできます。

また、機械系もソフトウェアに接続されています。一部のモデルでは、電子コネクターが情報に基づいてサスペンションを調節し、運転者が運転モード(スポーティ、リラックス、オフロードなど)を選べるようになっています。

安全機能の向上など、新たな制御方法や機能が常に誕生しています。これに対応するため、自動車メーカーでは車載ソフトウェアのリモートアップデートを提供しています。ディーラーや自動車修理工は、ソフトウェアをアップデートするだけ、もしくは故障したコネクターを修理するだけで、問題を解決することができます。従来の自動車よりも動く部品がはるかに少ないEVは、その他にはほとんど何もする必要がありません。EVが市場シェアを拡大する中で、自動車修理は、代車を使って一晩待ってという煩わしいものではなく、ランチタイムに修理工場に行けば良いシンプルな作業になるはずです。

コラボレーションとフォニフィケーション

長年にわたり、大きな変更なしで数年から数十年使える信頼性を備えた各系統の構築に主眼を置いてきた自動車メーカーにとって、ソフトウェア駆動型の各種機能や設計の細かな修正の繰り返しなどは、大きな負担になっています。現在のユーザーの使い勝手を考えたソフトウェアシステム作りに、苦労しているメーカーもあります。モレックスの調査によると、自動車関連企業のステイクホルダーの92%が設計上の課題に直面していると答え、85%が、昔ながらの考え方では自社は遅れをとるだろうと回答しています。

他方、消費者は、Apple CarPlayやAndroid Autoをダウンロードし、使い慣れた画面で、お気に入りのプレイリストやポッドキャストを使っています。CarPlayには、自車のロックを解錠してエンジンをかける機能もあります。

多くの自動車メーカーでは、ソフトウェアアプリケーションを一から構築して新たな機能を搭載したクルマを作るのではなく、テクノロジー系企業との協働によって、「フォニフィケーション」つまりスマホ連携を進めています。

Googleとの提携を発表したフォードのCEO ジム・ファーリー氏は、「我々は、ナビゲーションシステムや車内エンターテインメントを単に搭載するだけの、付加価値のない無個性なビジネスから脱却しなければならない。毎年、何千億ドルというお金を費やしながら、スマートフォンの相手にもならないような凡庸なユーザー体験の維持しかできていなかった」と述べています。

同じようなことは モレックスの調査の回答にも見られ、回答者の35%が、イノベーションを促進するにはコラボレーションがベストな方法と答えています。ソフトウェア専門の企業と提携することで、自動車メーカーでも顧客の満足度と販売台数を維持しながら、ソフトウェア企業が持つ知識の助けを借りて、クルマがもっとつながる未来に向けた準備を進めていくことができると考えています。

自動車メーカーとテック系企業の提携については、大手ティア1サプライヤーと複数企業が合同で車載コンピューティングプラットフォームを構築した例として、当社の例を一つ挙げてみましょう。この提携プロジェクトでは、自動車メーカーが他社との差別化を実現する機能の開発に専念することができるよう、当社を含む各社がハードウェア、コンポーネント、ソフトウェア、サービス分野の専門知識をそれぞれ持ち寄ってこのプラットフォームを構築しました。

エンジニアリングの課題を解決する

コックピット内の搭載スペースは限られているのに車載機能は増加する一方。これが今、エンジニアが抱えている課題です。これに対しては、実装スペースも取らず、かつ消費電力を抑える、システム・オン・チップ (SoC) と呼ばれる、1個のチップに多数のコンポーネントの実装が可能なタイプの電子回路基板を使う方法もあります。

熱や騒音、振動に耐える、高信頼の先端ソフトウェア機能を実現する方法も考えなければなりません。これには、適切なサプライヤーとの提携が役立つことでしょう。モレックスは、柔軟かつ信頼性に優れた小型コネクターや高速ネットワークケーブルの開発の分野において、前述のような要件を満たせる経験を長年をかけて積み重ねてきました。今後もさらに、世界の自動車メーカーやサプライヤーに提供できる技術と製品の充実を進めていきたいと考えています。

スマートフォンで常時リアルタイムの情報に接することが当たり前となった近年ですが、自動車販売店を訪れる多くの顧客は、自動車内で同じような体験ができることを望んでいます。自動車メーカー各社は、安全性や快適性、エンターテインメント等の各種機能を搭載し、天気や道路状況、直近のガソリンスタンドや給電ステーションといった情報を十分に提供するディスプレイやカメラ、センサーを複数台搭載した自動車を提供することで、最近の消費者のニーズに応えようとしています。

ソフトウェアが自動車内で主役を担ようになり、データ通信の数が急速に増加するにつれ、エンジニアは古いシステムの再考を迫られています。エンジンやブレーキからシート、カーラジオまで、自動車に搭載されている装備等で独立して機能するものは、いまや一つもありません。近年の車載システムの設計者は、上位テクノロジー系企業との提携によって、相互接続した各種車載機能を駆使した、快適な車内体験の実現を目指しています。

安全担保のためのデータ量の増大

今日のクルマは、以前のように人だけを運ぶのではなく、膨大な量のデータを運ぶものになっています。コネクテッドカー搭載システムのプログラムコードは1億行(英語)にも達すると言われますが、これは2010年の10倍以上に相当する行数です。 

最も重要なのは、先進運転支援 (ADAS) システム等の安全機能への接続リンクです。車載カメラの視野角は人間の視野範囲を超える360度。LiDARや赤外線システムは、夜間や濃霧、霞のかかった状態でも運転者の死角にある動体を検知します。 

また、アダプティブクルーズコントロールはレーダーまたはレーザー式センサーを使用して周囲車両との車間距離を測り、微妙な加減速を行って自車の速度を微調整して、走行中の安全車間距離を維持します。衝突警告機能は先行車との距離、角度、相対速度を測定し、衝突間近になるとドライバーに警告します。そして衝突間近と判断すると自動緊急ブレーキが作動し、事故を回避します。

多くの商用車にはカメラとセンサーが搭載され、停止線に気づかなかったり急な加減速をしたりといったドライバーの癖を観察しています。ドライバーの視線や居眠りまで検知して警報音を発するものもあります。またこれは商用車と一般の乗用車の両方に提供されているサービスですが、保険会社が用意したドライブレコーダーやスマートフォンアプリを使用して保険会社が設定した一定の安全運転基準を満たすと、保険料を割り引くサービスなどもあります。

将来、ADASシステムはもっとプロアクティブなシステムとなり、5Gワイヤレスネットワークを駆使した車車間または路車間 (vehicle-to-everything, V2X) での直接通信によってさらに多くの自動機能を提供するようになるでしょう。

ただし、今はまだその時点には到達していません。今しばらくのセーフティシステムには、車両上の各種コンポーネントへの入力情報を瞬時に収集、処理、伝達できる高信頼性の高速データ伝送能力を備えた[ワイヤハーネスと、接続用の]多ピンコネクターが必要です。また、V2X通信には別途、要求速度を満たし必要な信号を伝送するための新たなアンテナテクノロジーが必要になるのではないかと考えられます。

デジタルコックピットで可能になる、表示データのカスタマイズ

安全機能の高度化以外で、自動車ディーラーに訪れる最近の顧客が求めているのは、情報がすぐに手に入ることと使いやすい操作系、つまりボタンと計器類で構成する従来型のインパネとは異なる、薄型でなめらかな外形をしたカスタマイズ可能なタッチパネルです。このようなニーズを受けて出てきたのが、ドライバーが表示させたい情報を好きな位置に表示させることのできる、デジタルダッシュボードです。デジタルダッシュボード上では、例えば、スピードメーターの代わりにタコメーターや地図を表示させるとか、全情報を一度に表示する、もしくは各種表示を随時切り替えて表示させるといった使い方ができます。デジタルダッシュボードからは、シートの調整、音楽の再生、ルームランプの色を変化させるといった操作機能にもアクセスできます。

フロントガラスの高さ位置に情報を表示するヘッドアップディスプレイには、例えばEV車であればバッテリー残量等の、ドライバー向けメッセージが表示されます。バッテリー残量が少ないと判断すると、ナビゲーションシステムが直近の充電ステーションへの案内を開始します。そして、充電地点までのルート区間中の地形に応じた電池消費量を再計算して、バッテリーを消費する急勾配の道を回避することなどもシステムが行ってくれます。

また、機械系もソフトウェアに接続されています。例えばスポーツ、コンフォート、オフロードといった走行モードを選べるモデルがありますが、このようなドライブフィールを調整するシステムにも、サスペンション調整用のデジタル情報を伝えるコネクターが使用されています。

安全機能の向上を含む新たな制御方法や機能は、常に生み出されています。これに対応するため、自動車メーカーでは車載ソフトウェアのリモートアップデートを提供しています。車両の故障の一部は、自動車ディーラーや修理工場でソフトウェアの更新やコネクターの交換をするだけで、修正することが可能になっています。EVの場合は、可動部品が従来の自動車よりも格段に少ないですので、修理の手間はさらに大幅に少なくなります。EVの割合が高まるにつれ、修理工場に預ける時間はランチ休憩の時間くらいあれば十分となり、何泊も預ける必要はなく代車の心配もなくなっていくと考えられます。

コラボレーションとスマホと自動車の連携機能

長年にわたり、大きな変更なしで数年から数十年使える信頼性を備えた各系統の構築に主眼を置いてきた自動車メーカーにとって、ソフトウェア駆動型の各種機能や設計の細かな修正の繰り返しなどは、大きな負担となっています。近頃のユーザーの使い勝手を考えたソフトウェアシステム作りに、苦労しているメーカーもあります。モレックスの調査によると、自動車関連企業のステイクホルダーの92%が設計上の課題に直面していると答え、85%が、むかしながらの考え方では自社は立ち遅れるだろうと回答しています。

一方、消費者は、Apple CarPlayやAndroid Autoをダウンロードし、使い慣れた画面で、お気に入りのプレイリストやポッドキャストを使っています。CarPlayには、自分のクルマのロックを解錠してエンジンをかける機能もあります。

多くの自動車メーカーでは、ソフトウェアアプリケーションを一から構築して新たな機能を搭載したクルマを作るのではなく、テクノロジー系企業との協働によって、スマホ連携 (“phoneification”) を進めています。

Googleとの提携を発表したフォードのCEO、Jim Farley氏(英語)は、「我々は、ナビゲーションシステムや車内エンターテインメントを単に搭載するだけの、付加価値のない無個性なビジネスから脱却しなければならない。毎年、何千億ドルというお金を費やしながら、スマートフォンの相手にもならないような凡庸なユーザー体験の維持しかできていなかった」と話しています。

同じようなことはモレックスの調査の回答にも見られ、回答者の35%が、イノベーションを促進するにはコラボレーションがベストな方法だと答えています。ソフトウェア専門の企業と提携することで、自動車メーカーでも顧客の満足度と販売台数を維持しながら、ソフトウェア企業が持つ知識の助けを借りて、クルマがもっとつながる未来に向けた準備を進めていくことができると考えます。

自動車メーカーとテック系企業の提携については、大手Tier 1サプライヤーと複数企業が合同で車載コンピューティングプラットフォームを作った例として、当社の例を一つ挙げてみたいと思います。この提携プロジェクトでは、自動車メーカーが他社との差別化を実現する機能の開発に専念することができるよう、当社を含む各社がハードウェア、コンポーネント、ソフトウェア、サービス分野の専門知識をそれぞれ持ち寄ってこのプラットフォームを作成しました。

エンジニアリングの問題を解決

コックピット内の搭載スペースは限られているのに車載機能は増加する一方である–これが今、エンジニアが抱えている問題です。これに対しては、実装スペースも取らず消費電力を抑える、システム・オン・チップ (SoC) と呼ばれる、1個のチップに多数のコンポーネントの実装が可能なタイプの電子回路基板を使う方法もあります。

しかしまた、熱や騒音、振動に耐える、高信頼性の先端ソフトウェア機能を実現する方法も考えなければなりません。これらの要求事項を満たせる能力を持ったサプライヤーが必要であろうと考えます。モレックスは、柔軟かつ信頼性に優れた小型コネクターや高速ネットワークケーブルの開発の分野において、前述のような要件を満たせる経験を長年をかけて積み重ねてきました。今後もさらに、世界の自動車メーカーや同業界のサプライヤーに提供できる技術と製品群の充実を進めていきたいと考えています。

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