産業とアプリケーション
はじめに
半導体業界が進化と成長を続ける中、製造システムは粘り強く、業界の難しい技術的・業務的要件を達成すべく進化しています。大手電子製造ソリューション(EMS)プロバイダー各社は、より良くより速く顧客にサービスを提供するよう完全自動化に向かっています。相手先(委託者)ブランド名製造(OEM)企業やEMSプロバイダーの大きな課題のひとつは、製品を損傷することなく半導体コンポーネントを梱包することです。そのような企業は、電子部品をロボットで開封することからPCボードに組み立てることまで、製造手法を助けるテクノロジーをますます多く使用するようになっています。
モレックスは、現在の梱包方法に対するより幅広い選択肢を提供することで、このような業界の変わりゆく要求に応えています。先ごろ開発された表面取付け互換(SMC)コネクターには、自動化された設置機器内で直接使用できるよう、様々な梱包方法を展開しています。包装の分野における当社の柔軟な製造能力と卓越したエンジニアリングによって、顧客のオートメーションのニーズに応えるカスタムメイドの梱包オプションを、OEM/EMSの各企業に向けて開発することも可能になりました。
オートメーション梱包の利点
あらゆる製品ベースの業界では、洗練された梱包デザインが、製品の品質を維持するために重要な要因となっています。コネクター業界では精緻な梱包デザインが、人間の作業員にとって扱いやすく、フォークリフトでの移動も容易にします。オートメーションの利点には以下が挙げられます。
- 人員投入が削減されるため、疲労によるケガのリスクが制限される
- 梱包プロセスをオートメーション化することで、製造速度が向上する 人の手で行う梱包プロセスがあると、製品を製造する機械が能力をフルに発揮できないことが多々ある
- 機械のダウンタイムを軽減するために役立つ
- 売上を増加し全体的な製造コストを削減することで顧客サービスを向上する
梱包の種類
従来的なコネクターの梱包には、様々に異なるバッグやパレットが含まれることがほとんどです。ヘッダーは詰めやすく発送しやすいものですが、輸送中に損傷したり、顧客の拠点での組み立て工程中にダウンタイムが増加するリスクもあります。さらに新しい梱包方法は開梱が早くでき、取り扱いが簡単で、異なる顧客のニーズに合わせて設定することができ、様々なオートメーションテクニックに役立ちます。一般的に活用されている高度な梱包方法には以下があります。
1. テープ&リール梱包
テープ&リールは、主に表面取付デバイス用の梱包プロセスで、コネクターをポケットテープまたはキャリアテープの中の個々のポケットに入れます。テープ&リール方法では、コネクターがプラスチックのキャリアテープに型押しされた、正確なサイズのポケットに収められます。
カバーテープでキャリアテープを密閉し、コンポーネントが正しい位置で保護されるようにします。エンボステープの片端に沿ってスプロケット穴の列が設けられており、確実なインデックス付けを促します。
その後テープは硬いプラスチックリールに巻かれ、取扱中や保管中に機械的に保護されるようにします。このリールはホコリが発生せず、清潔な環境に対応します。最後に、リールをリールボックスに収めて顧客に発送します。
テープのデザインに影響する要因
テープを設計する際に考慮すべき主な要因が2つあります。
- 考慮すべき1つ目の要因は、ロボットアームを使用する際にどのピッキングメカニズムが一番良く機能するか、ということです。取り上げて置く操作をするには、コンポーネントがピック&プレイスキャップか
カプトンテープのいずれかを備えていなければなりません。真空吸引メカニズムを備えたロボットアームは、平面から直接、またはカプトンテープを使ってコンポーネントを取り上げます。カプトンテープはポリイミドフィルム素材に接着剤をコーティングしたものです。耐圧性・耐熱性に優れています。テープはコネクターの上側に貼られ、真空ヘッドで簡単に取り上げて置くことができる素早く費用対効果が高い選択肢です。 - テープ&リールは、吸引および/またはグリッパーを使う安全オートメーションに合うように設計することもできます。モレックスのエンジニアは、テープ&リールのサイドポケットにカットアウト部分を残して、グリッパーを使用できる余裕を持たせています。
- 考慮すべき2つ目の要因は、コネクターの全体的な寸法です。梱包ポケットは、正しく配置できるようにコンポーネントの長さ・高さ・幅に基づいて設計されています。ポケットスロットは、「取り上げやすさ」を高め「コンポーネントの損傷」を防ぐように設計されています。
2. トレー梱包
トレー梱包の手法では、テープ&リール梱包には上手く収まらない大きな部品を安全に保存・輸送することができます。コネクターがバッグや箱の中で移動する、かさばる梱包と比較して、固有のデザインのトレー梱包は、輸送中の安全性が高いために選ばれることが多々あります。トレー梱包は、PCボードにより効率良く設置することもできます。
設計要件
トレーは炭素粉末か繊維素材で作られ、特定のトレーの最大温度定格によってどちらかを選びます。トレーは、高温にさらされるコンポーネント(湿気に敏感なコンポーネント)で使用するように設計されており、定格温度は最大150°Cです。均一な間隔で配置されたポケットの列がある、電子デバイス技術合同協議会(JEDEC)標準の長方形アウトラインにブロー成形されます。このポケットが、輸送中のコネクターを正しい位置に維持します。
ポケットの間隔は、取り上げて配置する基板アセンブリー工程に使われる、標準産業オートメーションアセンブリー機器に合わせた正確な位置になっています。
トレーは複数に分けて梱包されて出荷され、しっかり支えられるよう積み重ねられてきつく束ねられます。顧客は、個々の仕様に基づいて1個または数個の積載ユニットを受け取ることができます。
3. ハードトレー
熱形成トレーは、耐久性に乏しくトレーが損傷しやすいため、適さない場合もあります。ソフトトレーは、取り上げて配置するロボットアームの重量に耐えられない場合があります。そのような場合には、注入成形のハードトレーが使用されます。このタイプの梱包方法は製造コストが高額なため、ソフトトレーが使用できない場合のみ採用することが推奨されます。
4. チューブ梱包
厚紙、プラスチック、アルミニウムで作られた中が空洞の筒状梱包容器は、チューブコンテナと呼ばれます。チューブ梱包はテープ&リール梱包と同様で、テープ&リール梱包には収まらない大きな部品を安全に保管・輸送することができます。この方法では、コンポーネントが環境から隔離されたチューブ内に配置されます。
チューブ梱包の利点
- チューブ梱包は、日常的に研究室で大量の部品を取り扱う顧客に役立ち、プラスチックシールドによる保護の追加により、輸送中および受け取り中のコンポーネントの耐久性をさらに高めることができます。
- 耐久性が高まることで製品のロスが少なくなり、同数のPCボード完成品を製造するために購入するコンポーネント数が少なくなります。落下テストや他の梱包方法の検証のため、必ずそうなるとは限りません。
結論
自動車・消費者向け電気製品・医療機器・産業オートメーションなどの製造業での電子機器部品の需要の上昇によって、近い将来、市場の成長が高まることが期待されています。
さらに、有害な排出ガスに対する懸念が高まる中で、ドイツや中国を含む主要経済国で電気自動車への選好が高まっており、受動部品の需要が高まり、市場の成長が促進されると予想されます。
モレックスは、オートメーションとコスト削減技術を支援するために、帯電防止バルク梱包、チューブ梱包、トレー梱包、テープ&リール梱包など様々な種類の梱包を提供しています。このような梱包によって、グローバルな電子機器メーカーは、適した梱包方法で必要なコンポーネントを受け取ることができ、アセンブリー工程を簡素化することができます。