産業とアプリケーション
モレックスのテクノロジーによって新たなスーパーコンピューター「富岳」が歴史的なスピードを達成し、予定よりも丸1年前倒しで重要な機能を利用できるようになり、驚異的な広帯域幅とデータ処理要求がサポートされています。
日本の自然科学の総合研究所である理化学研究所と世界的なITリーダーである富士通が共同開発した「富岳」システムは、科学研究や防災、人工知能の調査やその他の社会的・経済的イニシアチブといった緊急性の高い社会的ニーズに記録的な複雑な演算能力をもたらしています。
早期発売への道のり
「富岳」は当初、2021年に発売の予定でしたが、コロナのパンデミックに関連する深く掘り下げた科学研究の切迫したニーズに対応するため、その発売が前倒しされました。開発の前倒しに向け、チームはすぐに提供可能な標準設計のコンポーネントとカスタム設計のコンポーネントの両方を必要としていました。モレックスは、「富岳」のバックボーンとして機能する配線済みの高速バックプレーンテクノロジーを供給し、システムと多数の回路基板間の信頼できる重要な接続を実現させました。
バックプレーンを相互接続する高度な開発と、ケーブルアセンブリーへの統合に関する専門知識が一体となって、優れたシグナルインテグリティでの伝送と電気的な一貫性をすべての差動対で実現させました。
モレックスのエンタープライズソリューション部門、銅ソリューション事業部ゼネラルマネージャーであるジャイロ・ゲレロ氏は次のように語っています。「同様のテクノロジーについて長年培ってきた経験により、モレックスは展開時間の前倒しに必要な能力、キャパシティ、品質の提供に向けた良い位置付けを得られました。「富岳」は未来のテクノロジーを非常に大きなスケールでサポートできるモレックスの能力を示す一例です」。
合計すると、「富岳」はモレックスの30の標準製品および、帯域幅と密度の増大に対応できるように設計された8つのカスタム設計のコンポーネントを使用しています。また、モレックスの生産施設は、野心的な新しいスケジュールに対応しつつコンポーネントのコンプライアンスを維持するためにたゆまぬ取り組みを続けました。
トップスーパーコンピューターの称号を獲得
「富岳」が本格稼働すれば、15万個以上の中央演算処理装置(CPU)が搭載され、そのそれぞれがモレックスのコネクターに依存し、世界で最もパワフルな最速のスーパーコンピューターが実現することになります。実際に「富岳」は最近、毎秒41京5千兆回(415,000兆)を超える計算速度を達成し、トップスーパーコンピューターの称号を獲得しました。これで「富岳」はその前身であるスーパーコンピュータ「京」の性能を上回り、「京」よりも3倍高速な運用を実現しています。
モレックスは、「富岳」のさらなる機能がオンラインになるまで富士通のサポートを続け、世界をリードするこのスーパーコンピュータの完全なインストールと実装を可能にする主要なコンポーネントの供給を継続しています。モレックスの設計、コンポーネント、生産に関する深い専門知識により、富士通のような企業は、並外れた信頼性、速度、パワーが要求される画期的なソリューションやイニシアチブを成功裏に立ち上げることができます。